ルルーチィの漂流生活・神聖モテモテ王国
ジーク・ナオン!
次の日。
朝食は貝のスープ。
この前のみたいな巨大貝じゃなくてハマグリのスープ。
皿も大きな貝殻の流用品。
(すごいイイ匂い)
スプーンもないから直接啜る。
調味料なしでも濃厚な旨味が脳天を貫く。
(あー、パンがあれば浸して食べたいなあ――)
ルルーチィの贅沢な感想。
貝だけど肉の旨味に匹敵する味わいだ。
それに汁に旨味がこれだけ煮出されていても、具である貝の身にはまだまだ充分旨味が残っているから食べ応えも満足。粗末なスープだけの朝食だけど贅沢をしてる気分。
「お姉ちゃん、それ?」
ルルーチィの胸元にあるペンダントを目ざとく見つけたギコくん。
「いいでしょ?」
「……」
「ん?」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんのお嫁さんになるの?」
「はんげー!?」驚愕のルルーチィ
「ブーッ!!」と吹き出すギイさん。
「あが! あがああ!?」と動揺しているギグくん。
ギコくんのその素朴な一言で静かな朝食のひとときがぶち壊しに……
「お父さん! なんでギコに?」
「バカヤロ、それはお前のしとくことだろが」
お互いがギコくんに口止めしてるもんだと思っていたらしい。
だが、一番の困惑者はルルーチィである。
それなりに意味のある告白のアイテムだとは思っていたが?
「あ、あの! どーいうーことっ、ですか!?」
「いや、違うんです」
「んん!? 違うって、なにが!?」
「あ、あの……」
違うって言ったらそれはそれでマズイだろう。でも、若いギグくん上手く取り成せない。
「すまん。ルルーチィ。俺ら民族の勝手な伝統だ。君が気にする必要はない」
見かねてお父さんのギイさんが代わりに答える。
「伝統?」
「ああ、俺らの民族は男の子が十二になる時、母からお守りのペンダントを渡される。それはその子を守ってくれる大事なモノだ。だが、その子自身が自分よりも大事だと想える人が現れたとき、そのペンダントを渡すという風習があるんだ。それは大概、永遠の愛を誓う生涯の伴侶だったりする、んだが?」
「私、そんなの知らないし!」
「うん。分かってるぜ? だから、そのあたりのことはギグとも話したしな?」
「はい、そんな深い意味はありません。ただ、ルルーチィさんに、あの巨大魔真珠をプレゼントしたくて、でも、鎖がソレしかなくて、だから……」とギグくん、モジモジ。
「そうだぜ、ルルーチィ?」
(なんか、コレ、はぐらかされてない?)
ギグくんの想いはルルーチィも気付いている。
でもそれは、無人島の中で発生した単なるロマンスにすぎない。
元の生活に戻れば、ギグくんだって、かわいい彼女と一緒に街中をデートするだろうし、ルルーチィにしたってチィルールの護衛任務に戻るだけである。
(傷つけないよう子供のラブロマンスに付き合ってみたら、ヤバイ状況に? というか、この島から脱出できない前提の話しじゃないかコレ? あの遺跡じゃあるまいし縁起でもない。事態は急を要するのか?)
改めて事態の深刻さを認識するルルーチィ。いろんな意味で。
「じゃあ、まあ、とりあえず、そおいうことで!」
「ああ上等、上等、バッチリだ」
「はい済みません」
なんとか大人同士の決着ついた。
だが?
「結婚するの? しないの?」
子供のギコくん、素朴な質問。
「……」
「……」
「……」
「ねえ?」
「あ、俺、オシッコ」とギイさんが退場。
「僕、水汲みに――」退場しちゃいけない子が退場。
「私も……」
最後に退場しようとしたルルーチィ、手遅れだった。
ガッチリとギコくんにしがみ付かれてしまった。
ギュウっと抱きしめてくるギコくん。
「お兄ちゃん――なんかより、ボクと結婚したほうがいいよ?」
ルルーチィの耳元で囁いたギコくんの台詞。
不覚にもルルーチィ、ちょっとゾクゾクしてしまった。
あれがナニしてなんじゃろが? なんじゃよ? ぎゃわわわああー!
お漏らしの権利を要求する! さもなくば自爆するのだが? ふふっ、迷惑じゃろ?




