ルルーチィの漂流生活・デート
無人島での生活。
ルルーチィも慣れてきた。
身体も治り、今は普通に行動できる。
食べ物の確保も上々だ。元々、サバイバルはオテノモノだったし。
でも子供達の相手は大変だった。
「カンチョー!」
「ひゃがやあー!!」
ギコにカンチョー攻撃を受け、肛門ナデナデしながらの悶絶ルルーチィ。
その様子を見て「あははwww」と親父のギイさん大笑い。
(しつけがなっていない!)
怒りのルルーチィ。
「女の人にカンチョー、すんなよ!」
お兄ちゃんのギグがギコの頭をペシッと叩く。
「ギグくんは優しいなあ。紳士だね」
「え、いえ、べつに……」
やや、うつむき頬を赤らめるギグくん。
「デートしようか?」
「え!?」
「この島のこと知らないから、イロイロ案内して欲しいな」
「あ、はい! よろこんで」
赤らめた頬をピシャッと平手打ちするギグくん。
実にかわいらしい。
「ヒュウーヒュー」と、煽ったのは親父のギイさん。
「うるさい! ルルーチィさんを案内するだけだから!?」
「あはあ? 分かってねーな。誘われたんだぞ? 男になってコイ!」
「はあ? え? あの、ん?」
ギグくん、動揺と期待感?
「違うからね? セクハラ発言を真に受けたら破滅するよ?」
「はい……」
ルルーチィの生の言葉が身にしみるギグくん。賢い子。
「ここなんです。遺跡みたいなんですが――」
ギグくんに案内された最初のお勧めスポット。
それは遺跡?
「これ遺跡ってほど古くはないよ。数百年くらい程度のモンかな」
明らかに人工の建造物だが、規模が小さい。
それはただの石碑だった。手前に東方型の鳥居がある。
少数の人数で建設可能なレベル。
野ざらしで風化し、それなりに貫禄はあるけど、日曜大工仕事というか手製感は否めない。
「この石碑の文字読めますか? なんて書いてあるんでしょう」
「うーん。見たことない文字だね」
「ルルーチィさんでも無理でしたか……ということは、やっぱり」
「やっぱり?」
「これは宇宙人の遺跡では!?」
「はー!?」
ギグくん、そういうの、の、人でした。
「僕らの知ってる世界なんてちっぽけなモンなんです。それに比べて、この頭上に広がる無限の宇宙よ。おおおおお――」
天空を見上げなんか「おおお」とか言ってるギグくん。
「ああ、うん。そーかもね」
でも、あきらかに違う。
手前の鳥居は東方ではよく見かけるタイプだし、この石碑にしたって高度な文明をもった宇宙人のする仕事ではない。誰か人の手によるものだ。
でも少年の夢を壊したくなかったし、そもそも、こういうのの相手はめんどくさい。
(それより、気になるのは、さあ……)
石碑の前に転がる白い石の欠片。パラパラとばら撒かれてる。
一つ取って、クンクン、匂いを嗅ぐルルーチィ。
「……。(うっわ、コレ、やべー。シャレになってねーよ。マジやべー)」
「どうかしましたか?」怪訝なギグくん。
「ん? なんでも。それよりココはもういいから。他のトコ行こ!」
「ええ? でも、もっと無限の可能性について……」
「いーから、ホラ。(こんなやばいトコでノンビリしてられるか)」
ルルーチィ、なかば無理やりギグくんとその場を去った。
「ここが湧き水の場所です。すごいでしょ」
次に案内されたおすすめスポット。
「嘘でしょ! ここ島でしょ? 湧き水とかいうからてっきり――」
静かにコポコポ湧きだす清水をイメージしてたのに違った。
水、溢れ出していた。シャワシャワと噴水みたいに高く噴いてた。
辺り一面はちょっとした湖状態である。
「フふーっ。飲み水の確保だけでなく。水浴びとかもココでするんですよ」
「えー! いいなあ!」
そろそろ、ルルーチィもお風呂に入りたかった頃合。
「あ、水浴びしますか?」
「ん? どうしよーかなー? だってギグくん、いるしなー?」
「えー!? ボク、覗いたりしないし――」
「ほんとー?」
「本当です」
「ほんとーかなー?」
「本当です!」
「んふふふ。じゃあ、ちょっとだけ、いいかな」
「どうぞ」
「じゃあ、ちょっとだけね。(この子かわいいなぁ)」
ホッペを真っ赤にして、視線が泳ぎまくりのギグくん。
でも、ルルーチィは分かってる。それで別にいいと思っている。
思春期の少年にまったく性的に見られないというのも屈辱的であるし。
だから、水浴びすることにした。
「……」
ギグくん、近くに生えてる大木の幹の裏側でしゃがんでジッとしていた。
「ちゃポっ」と水の音。同時にギグくん「びくっ」ってなった。
頭上のケモノ耳を両手で押し倒す。
目もつむって、顔をしゃがんだ両足の間に埋める。
「……」
そして、十秒がたった。
(ヘンだよね?)
なんもヘンなことはない。
(だって、あれからしばらく経つのに物音しないよ?)
十秒しかたっていない。そんなこともあろう。
(まさか! 溺れたのか?)
いや、それなら逆に大騒ぎだろ。
(助けないと! ……でも、溺れたのは勘違いで、覗かれたとか誤解されるのも嫌だし)
あー、うん。
(よし、勘違いされないよう、コッソリ覗いてみよう)
んん!?
ギグくん、幹を周回して、コッソリ、湖を覗く。
(? いない!? まさか、本当に溺れて!?)
大慌てで水辺に寄るギグくん。
『ワアアっあああ!!!!!』とギグくんの背後から巨大なルルーチィの声!
「ヒぅェエエ!!!」とギグくんの悲鳴。
ギグくんの背後に回ったルルーチィが彼を驚かせたのだった。
そのせいで、ギグくん湖にドボンと落ちてしまった。
「あははは!」大笑いのルルーチィ。
「な? なあ!?」困惑のギグくん。
「ギグくんのえっちぃ――」
「ち、ちが、ちがうんです、これ、え? あれ、あ、あの――」
嵌められたことに気付いたギグくん。弁明できなくなる。ちょっと涙目。
「じゃあ、一緒に水浴びしよ!」
服を脱いで下着姿のルルーチィ、湖に勢いよく飛び込んだ。
「ぷひゃああ!」
ギグくん巻き添え。
「気持ちいーい!」
沈みかけたギグくんを抱き寄せる。でもギグくん、相変わらずというか、さっきより顔真っ赤。しかも完全脱力。
(ん? 下着ってもスポーツインナーで、水着と変わんないガッカリ下着のはずだけど?)
ルルーチィは少年の純情が分かっていない。
思春期の少年にとって、自分より数歳年上のお姉さんは神秘のエロス神。
そのエロス神が目の前で服を脱ぎすてビキニ姿になったあげく、この自分自身を抱き寄せるなどと!
いきなり殻をひん剥かれたカタツムリが塩コショウをまぶされ熱したフライパンの上でバター炒めされるが如しの暴挙!
イタイイタイイタイ!
なにかがイタイーぃ!
「あ、鼻血……」
抱き寄せたギグくん、鼻血出してる。
そしてギグくん、気を失った。




