ウンコブリブリ・シッコジャージャー
いつも通りの平常運転です
喫茶『漂着者』
ゆったりと流れる時間。
それは喫茶店独特の雰囲気。
味わうのはカフェだけでなくその空気も。
「はあ……おいしい」
ルルーチィはカフェを堪能。癒される。
マスターはコップ磨いてて、必要以上に干渉はしない。
でも一人のはずなのに寂しくない。不思議な世界。
カッコつけるためじゃなく、自分の癒しのための自分の空間。
「あ、時間……マスター、電話かります」
「どうぞ」
ピンク色の公衆電話が店内に備え付けられていた。
受話器を取って魔力を注入。魔力がお金がわり。そして魔力のない男はお金で支払う。
ダイヤルを回す。
『ジーコロロ――ジーコロコロ……トゥルルルル・トゥルルル・ツッ』
呼び出しが終わって相手が出た。
『……』無言
「こちら、薄幸の美少女、(ルルーチィのコードネーム)。ウンコ・ブリブリ?(状況はどうか?)」
『シッコ・ジャージャー(状況、変わらず)』
「引き続きオラナプーする(捜索作戦を続行する)」
『ちゃんと拭け(健闘を祈る)』
本部との連絡は盗聴も考慮し符号で交わされる。
符号は敵からみても『絶対こんな符号ねーよ!』と思われるものが採用されている。
だがそんなこと考えもしないマスターは(誰に何の連絡いれた!?)と唖然としてる。
符号発案者からしてみれば、作戦どおりなリアクションだろう。
「さて、元気でたし、また頑張ろう。マスター、お会計を……」
「あいよ?」
お勘定済ませる。
(また来よう……そういえばこの店の名前)
「あの、この店の名前、漂着者って?」
「あぁ、オレ、漂着者なんだわ。まぁ能力弱くて一般人と変らんけど」
「ええ! じゃ、まさかチィーちゃんと一緒に? どこですか? チィーちゃん! どこ?」
「おっ、ちょっと待て!」
いきなり取り乱したルルーチィにマスターも驚く。
そして、しばらく――
だいたいの事情を説明したマスターとルルーチィ。
「そっか、ルルーチィはそのチィーちゃん、あのお嬢ちゃんを探しにきてたのか」
「街のみんなに聞いたとおりの場所探してもいなかった」
「だろーなぁ」
「マスター? なにか知ってるの?」
「うーん。ルルーチィを危険な目に合わせたくないんだけど……」
「私、ハーフビーだよ? 運動神経は人以上だし魔力も人並みに使える。そして――」
ルルーチィは全身にキラキラした魔力の粒をまとわせ、中腰に構えた。
戦闘ポーズの構えから、次の一瞬、手元が消えた。
「そして、訓練も、受けている……」
憂いを帯びたそのニヒルな表情。戦士としての宿命を背負った者の証。
常人のマスターにはなにが起こったのか理解できなかった。
でも後ろの壁に『カッ』となにかが衝突した音が聞こえて振り返ってみる。
壁を這っていたゴキブリ、そしてソレにめり込んでいる白いプラスチックケースの筒。
ゴキブリと一緒に落下した筒を拾う。筒の中にはヒモ付きの綿が詰まっていた。
「タンポン……」
「あ、ああ、あああ……」
ルルーチィに視線を向けると、顔を真っ赤にした彼女の手に握られているのはクナイ型の短剣。
タンポンと短剣、一字違いだから間違って投げたみたい。
「これ、まだ使う?」
「いらない! 捨ててー!」
そして、しばらく――
「マフィアのアジト?」
「ああ、俺がこの街に辿り着いたときもな、監禁されたわ。でな、殺されたとか捨てられたとか、街にデマ流されたもんだ」
「じゃあチィーちゃんも?」
「殺されたりとかはねーな。非道だがそこまで残虐でも好戦的でもなかったぜ?」
「アジトの場所――」
「うん、けど、ホントに大丈夫なのか?」
「私は子供のころから戦闘訓練を受けている」(キリッ)
「タンポン――」
「いやー!!!」(顔真っ赤)
「大丈夫なんだよな?」
「平気だと言っている!!」
マスターからアジトの場所を聞き出したルルーチィ。
「電話借ります」
再び、本部に連絡を入れる。
「こちら、薄幸の美少女。ウンコ・踏んだ(目標情報獲得)」
『なんだと! すぐシッコで洗え(詳細を請う)』
「ここは公衆便所『漂着者』(現在地・漂着者)これから北の肥溜め『血染めの天秤』に向かう」
「ぶーっ」と吹き出すマスター。(公衆便所……)
『我慢限界だ。盛大に漏らすぞ(引き続き情報を獲得せよ)』
「まだだ。肛門を引き締めよ(情報の裏づけはない慎重にコトを進める)」
『じゃあシッコ飲ませて? ハァハァ(逐一の報告を願う・ハァハァ)』
「シッコ? ハハッ、ウンコを食わせてやる(できるだけの情報を伝える)」
『ガチャン』と受話器を置いたルルーチィ。
「あのさ?」とマスター。ちょっと引きつった表情。
「はい?」
「ウチの電話でイタ電とかしてないよね?」
「なんでですか?」
きょとん、とした様子のルルーチィ。
言いたいことがあるんなら、ハッキリ言えば!? フンッだ……




