解説回
この世界の状況をすこし解説してみます。
万策尽きたー! ではありません。
大陸があった。
その中央には最大領土をほこるオクエン国。
東隣にあるのはチョウエン国。大きさはオクエンの四分の一程度だ。
そしてもう一つ、オクエン国の西にあるのがマンエン国。大きさはオクエンの三分の一くらい。
実はこの三国、半世紀前の魔王大戦以前は一つの国であった。
だが魔王大戦時、女王と次期王の王女は戦死してしまった。その後魔王は討伐されたのだが、その跡目の選定経緯中、国は三つに分かれてしまったのだ。
その最大の要因が次王の候補に異世界からきた勇者が担ぎ上げられたこと。魔王を討伐した張本人の英雄、ヨシモト・タローが挙げられたことにあった。
王家と血筋のない異世界からの侵入者しかも男を、王とすることに不服としたマンエン・ッリッリ女史。
彼女は同じ不満を持つ者や、人民派のヨシモト・タローが貴族社会主義に否定的なことに危機感を感じていた貴族豪族を西に集め、ついには挙兵してしまうのだ。
魔王討伐が完了し、やっと幸せな時代がやってくる、皆がそう思っていた矢先の出来事だった。
そして国を二分した戦いが始まり、それは熾烈を極める。
戦力的には貴族軍団のマンエン側有利であったが、ヨシモト・タローと彼に従う七人の勇者の力によってなんとか拮抗を保っていた。
やがてその戦争の覇者こそが次の王になることが暗黙の了解となった。それはマンエン側に付いた貴族同士それぞれにとってもである。なぜなら、反旗の先頭にたっているマンエン女史こそ、王の血筋ではなかったからである。女史の息子(十二歳)が戦死した王女の婚約者であったにすぎないのだ。そのため女史の下に集った貴族達は、戦に負けても女史の首を差し出せば済むし、勝っても女史を罷免すればよいだけのことと考え、誰もが自ら次期王を狙っていたのだった。……だが、この狙いは失敗に終わる。
この戦争を好機とした東のチョウエン・ウーラーが、東区域の独立を宣言したのだった。
チョウエン・ウーラーは王族関係者でもなければ貴族でもないただの商人であった。
だが、彼にはもう一つの顔がある。
東区域一帯を取り仕切る巨大マフィアのドンであるということ。その区域で闇の帝王と呼ばれる存在であったということだ。
この事態に対してオクエンとマンエンはそれぞれ反対の対応を示す。
オクエン『チョウエンの自治をある程度認める。オクエンと政治的で対等な交渉に臨むことが可能だ』
マンエン『言語道断である。国は王の下に存在しなければならない。分離は認められない』
ヘタを打ったのはマンエン。
チョウエンを支持すればオクエンを挟撃できたはずなのだ。(その状況を恐れてのオクエンの対応だった)
そして貴族の足並みも乱れることになる。なぜなら闇の帝王であるチョウエンに弱味を握られている者も少なからずいたためだ。
戦局は一気にオクエン優勢に。
名を捨て実を取ったオクエンはその逆を選んだマンエンに有利な状況になったのだ。
もっともオクエンとて無傷ではない。東区域はオクエンの金庫と呼ばれていたほどの商業区域でもあったが、その地を手放さなくてはならなくなった。戦局は有利になっても、金庫のお金がなくなってしまった。戦争が長引くと経済が破綻してしまう。
双方、同時に士気が下がった。
やがて、どちらともなく自然な流れで休戦協定が結ばれることになる。
オクエン『王を決定することはできた。だが大切な商業区域を失ったあげく国が割れてしまった』
マンエン『目的は達成できなかった。だがマンエン国を樹立し、この大陸の正当な王国としてマンエンが名乗りを挙げた。それは勝利である』
チョウエン『王も貴族も排除し、ワシの国が出来た。一人勝ちだ! わーはははは』
だが半世紀後である現在
オクエン『貴族の利権は維持して不満を逸らしながら、平民の規制を解除。人口は二倍に増えたけど国民総生産は三倍に増えた。人材の育成も進み、新しい技術がドンドン発生し国が進化していく』
マンエン『王政のもと、貴族社会を維持できている。これこそが国家のあるべき姿。半世紀前の時代と人口も経済も状況は変わらないが、理想的で正しい姿である』
チョウエン『なぜだ? 昔はオクエンの金庫と呼ばれたこの区域がなぜ停滞する? えーい、まだだ! もっともっと奴隷を使え! 食事も減らすんだ!』
その大陸に、再び波乱が起ころうとしていた。いやそれ以上の事態がおころうとしている。
海を渡った南の大陸にある獣人の国センエン国も巻き込む事態へと発展する可能性を帯びてきたのだ。
突如センエン国に現れたマンエン国の軍艦、そこからオクエン国王女であるチィルールの命を狙って出撃したマンエン女王の懐刀によってである。
トロイにさせる説明にしては長過ぎるので独立させました。
次回も赤い鎧騎士の説明から入りますし、
赤い鎧騎士は最強の敵キャラになると思いますが、オチもちゃんと思いついてます。
ただ、シリアスなのでキーボードが重いです。




