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『お前の魔法は時代遅れだ』と勇者パーティーを追い出された公爵令息。実は古代魔法の唯一の継承者で、その力を『救国の英雄』と勘違いした美女たちに囲まれ、俺を捨てた連中が泣きついてきてももう遅い

作者:kuni
「お前の魔法は時代遅れだ」

その一言で、クライネルト公爵家の三男アランは、人類の希望である勇者パーティーから追放された。彼が使う、詠唱が長く地味な『古代魔法』は、派手で即効性のある現代魔法を信奉する仲間たちから、常に侮蔑の対象だったのだ。

しかし、アランは絶望するどころか、心の底から安堵していた。
「これでようやく、静かに暮らせる」

彼の願いはただ一つ、誰にも邪魔されず、趣味の魔法研究に没頭できるスローライフを送ること。追放を好機と捉えた彼は、相続していた辺境の領地へと向かう。

だが、彼の計画は初日から狂い始める。

彼が使う古代魔法は、世界の理そのものに干渉する、現代魔法とは比較にならない規格外の力を持っていた。

ただ快適な風呂が欲しくて温泉を掘れば「癒やしの奇跡」と崇められ、
家庭菜園の害虫を駆除すれば「魔物の軍勢を単身で殲滅した」と噂され、
昼寝の邪魔をされたくない一心で騎士団を無力化すれば「睨むだけで敵を退ける軍神」と勘違いされる始末。

本人はのんびりしているだけなのに、その意図とは裏腹に、彼の行動は次々と伝説を生んでいく。やがてその噂は、病に伏せる王女、国を守護するエルフ、ギルドの凄腕調査員といった美女たちを引き寄せ、彼女たちはアランを「救国の英雄」「伝説の賢者」と信じて疑わない。

一方で、アランという最高の補助役を失った勇者パーティーは急速に凋落。任務の失敗を重ね、見る影もなく落ちぶれていく。

これは、のんびりしたいだけの無自覚な最強魔術師が、知らぬ間に英雄に祭り上げられ、かつての仲間たちが絶望するのを横目に、勘違いした美女たちと理想の楽園(ハーレム)を築き上げてしまう物語。

「だから俺は、ただ静かに暮らしたいだけなんだが……」

彼の心の叫びが、今日も勘違いの連鎖によって、誰にも届くことはない。
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