第48話 毒と呪いは雨のように
「ぐっ!!!!?」
おかしい。死ぬ刻限は今日では無いはずだ。
ギルガンドはかつて見た親族や家族同様に、いきなりに大量の血反吐を吐いた。内臓が食い破られるような激痛と共に、呼吸が出来なくなっていく。肺がやられたのだろうか。
それでも追いかけようと、共に逃げていく謎の人物と精霊獣の後ろ姿に手を伸ばしながら――無力に無様にギルガンドは倒れた。
『アハハハハハハハハハハハ!!!!』
違う、これは私の声では無い。そもそも呼吸が出来ないのにどうして声が――。
『もっと苦しめ!アニグトラーンは朕を殺したのだ、もっと苦しむが良い!その苦しみこそが朕の力、朕の慰め、朕の存在意義ぞ!』
『アニグトラーンは貴様で最後ぞ!』
『ああ、実に貴様は良い具合の器ではないか』
『これならば大勢殺められるではないか!』
……そんな、馬鹿な。
『手当たり次第に、殺めせてやる。貴様が守ってきた全てを!』
それだけは、絶対に、させるか!
ギルガンドが最後の力で、己の首を刎ねようと落ちた軍刀に手を伸ばした時だった。
『「閃翔のギルガンド」が不審者を逃がすなんて何事だと思ったら……』
『こう言う事情だった訳か』
『一族を苦しめたくてわざと「スキル:インプリケーション」に意志を付与させていたらしい』
『分かった!つまり「乱詛帝」の残したウン○が未だに臭っているのか』
『おい、言葉遣いを慎め!下品な言葉は許さん!』
足音が近づいてくる。壊れかけた携帯照明の消えては揺らぐおぼろな光がその人物を照らす。
その仮面や姿、両手に握った不思議な武器2つを闇の中から映し出す。
「……シャ……ド……ウ…………?」
『凄いな、あれでまだ本人の意識が残っているなんて』
『仮にも帝国十三神将が一人「閃翔」だ。並大抵の男ではない』
『よし、だったら』
『ああ、僕達のやる事は一つだ』
『何やつだ、貴様は!』
「乱詛帝」の残呪が叫んだ。
「誰と聞かれたら応えてやろう」
「ガン=カタを愛する者として!」




