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【完結】ガン=カタ皇子、夜に踊る  作者: 2626
First Chapter

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第28話 束縛、呪縛

 もう限界だった。

フェーアは止めようとする娼婦達を振り切って裏口に出た。

「これ以上私に何の用!?」

「やかましい!あたしの産んだ娘なんだから言う事を聞け!」

喚くなり老婆はフェーアの手首を掴んだ。

そしてその白く細い手に、『神々の血雫』を握らせた。

「良いかいフェーア」

猫なで声で老婆はフェーアに言った。兄だった男二人はいやらしい目で仕事終わりのフェーアを見て、にまにまと嗤っていた。

「それを腕に着けなさい。それはおまえに凄い力をくれるものなんだよ。その力でこの娼館の連中をやっつけて、ありったけのお金を持ってきなさい。そうしたら……」


 ――ああ。

フェーアは目の前が真っ暗になるのを感じた。

人を好きになる事にさえ責任が必要なのだったら、私が家族に愛されたいと願う気持ちにさえ責任が必要なのだ。


 その責が、今、こうして問われてしまった。


 「フェーア!それは駄目!今すぐそれを捨てなさい!それだけは!投げ捨てなさい!止めなさい!」

背後からマダム・カルカの悲鳴が聞こえたが、もはやフェーアの耳には聞こえていなかった。


 ――もう、いいや。もう、疲れた……。


 フェーアは『神々の血雫』を、己の手首に嵌めた。

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