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【完結】ガン=カタ皇子、夜に踊る  作者: 2626
Second Chapter

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第158話 ゲイブン、後輩を得る

 ゲイブンが娼館『フェイタル・キッス』の娼婦達から、まるでペットの犬のように可愛がられ、(犬が尻尾をブンブンと振り回すようだからと)ブンちゃんと言うあだ名まで頂戴し、今日も愛想良く真面目に下働きをしていたある日――『フェイタル・キッス』を取り仕切るマダム・カルカからお呼び出しを受けた。

てっきり急ぎのお使いか何かだろう、とゲイブンは何も予感せずにマダムの部屋を訪れて、戸を叩いた。

「マダム、お呼びですかい?ゲイブンですぜ!」

「ああ、入りな」

へい!と威勢良く返事をしてゲイブンが部屋に入ると、そこにはマダムの他に、見知らぬ――酷く痩せてちっぽけな少年がいた。

「ゲイブン、アンタの後輩だ。名前はセージュ。仕事を教えてやって、早く使い物になるようにしてやりな」

なるほど!とゲイブンはすぐに納得した。

「へいマダム!おいらゲイブンって言うんですぜ、よろしくですぜ!」

「よ、よろしく……です」

セージュはビクッと震えたが、小さな声を振り絞ってそう答えた。


 ゲイブンと言う少年は、とにかく人なつっこい。あだ名のように誰に向かってもすぐに尻尾をブンブンと振って、ごろりと腹を見せてしまう――犬は犬でも番犬にはとことん不向きな犬である。

そんな有様だったので、最初は怯えていたセージュも、すぐに心を開いてしまった。

「ブン兄、ブン兄」

そう言って暇な時間にゲイブンとじゃれ合って遊ぶのだ。

娼婦達はブンちゃんに子分が出来たわねえ、良かったわねえ、なんて楽しく笑いながら彼らを見ていた。

セージュは体が小さくて力仕事こそ苦手だったが、手先がとにかく器用で物覚えも抜群に良かったので、服の修繕や衣類のシミ抜き、後は小銭の勘定もすぐに上手になった。

娼婦からご褒美としてお菓子を貰ってゲイブンと分け合って一緒に頬張っている姿が何とも愛嬌があったので、あれはリスに違いないわ、いいえ子鼠ちゃんよ、なんて楽しい会話の種にもなった。


 しかし――そのセージュが来てから、謎の怪奇現象は起き始めたのだ。

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