第146話 呪いの傀儡師
「相も変わらずに愚か者ぞ、ケン」
ケンドリックの体が見る間に、呪いの具現化した黒い植物に飲み込まれて倒れた。
「『残呪』を受け継ぐ条件は我が血を引いている事、そして精霊獣を従えている事、火種としての憎悪や怨恨を強く抱いている事。
……少しでも早く蘇ろうとして、人の恨み苦しみ憎しみを増やすためにとても苦労したぞ。特に間抜けな貴様がヴァンに幽閉されてからは――『神々の血雫』の製造方法も卑しい血を引く孫を探して伝えてやったのに、ここまで力を取り戻すのにかような年月がかかったわ」
「黙れ!お前だけは!命と心を弄んだお前だけは!私のこの手で!この手でええええ!!!」
「アハハハハハハハ!吠えた所で無意味。精々恨み憎んで無力のまま死ぬが良い!」
ケンドリックが血反吐を吐きながら叫んだ。黒い植物の合間からは夥しい血が流れていた。
「巫山戯るな、『呪いの傀儡師』は、確かに『タイラント』が討ったはずだ!!!貴様は何をどうやって呪いをかけたのだ!!!?」
答えるようににんまりとロウは笑ったが、いきなり倒れた。
その影があった場所から――『呪いの傀儡師』の本体が、まるで泥沼の中から這い出た怪物さながらの姿で、出現した。
「死出の餞に種明かしをしてやろうぞ」
「先にアニグトラーンが朕を討った、その時朕と『パペティアー』は体を同じくしたのだ」
「我らは常に一心同体……いや、二心一体!」
「首を落とされた程度では滅びはしなかったのじゃ!」
『呪いの傀儡師』は幾つもある目玉で皇太子を見た。
「さあ」
「次は貴様ぞ、ヴァン!」




