表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ガン=カタ皇子、夜に踊る  作者: 2626
First Chapter

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/297

第138話 敗れた女

 『赤斧帝』には数多くの后、妃、夫人、愛妾がいたが、中でも格別に愛されたのがアマディナとアーリヤカである。

皇帝から与えられた地位によって、皇后から愛妾までランクがあるのだが、その中でも頂点に君臨する皇后だった。

特にアマディナは皇太子妃だった頃から常に『赤斧帝』に寄り添い、支えていた。

『赤斧帝』も美しく聡明で穏やかな彼女を誰よりも寵愛し、ヴァンドリックが生まれた時はこれ以上無く大喜びして、3つの時に皇太子の地位を授けたほどだった。

しかし『赤斧帝』が病の後で凶暴になった頃から次第に寵愛が失われてしまい――それまでは疎んでいたアーリヤカを狂ったように寵愛した事がきっかけで、やがて後宮の女主人の座を追われ、おまけに他の妃や夫人、愛妾達からも徹底的な嫌がらせを受けて心を病み、俗世を離れて神殿に入ってしまったのだ。

――我が子二人を伏魔殿の後宮に置き去りにしたまま。


 「いますが、何の用事ですか」

テオが冷たい声を出す。

皇太子だったヴァンドリックでさえアーリヤカ達から何度も命を狙われたのだ、ましてやテオは……。

「……ごめんなさい」

戸の向こうでアマディナは泣いているらしい。すすり泣く声が聞こえる。

「詫びを入れれば受け取られるとお思いか」

「……っ、うう、うう……っ!」

「僕達を先に見捨てたのは貴女だとお忘れか」

「………………っ、うう……」

「精々神々の御前で許しを請うとよろしい。神々が許そうとも僕は貴女には会わないが」

「テオ……テオ……っ」

「二度と僕の邪魔をするな。さようなら」

そう言ってテオはオレに「行こう」と言った。


 「良いのか?本当にこのままで」

 「少なくとも、解決するのは今では無いさ」



 テオ、と思わずアマディナが戸を開けた時には布団は丸まっていて、それだけでどれほどに彼女が我が子に拒まれているかを――ありありと思い知らされたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ