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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第四十二章 続『水卿エリア』での冒険

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700/933

700 戦いが終わって

本日一回目の更新です。



そしてなんと密かに 700話 です。


これもひとえにの読んでくれている人や覗きに来てくれている人のおかげです。

もちろん、ブックマークやポイントも励みになっています。本当にありがとうございます。

 武器を失っても仮忍者が降参することはなかった。それどころか徒手空拳でもってこちらを翻弄してくれたほどだった。

 壁役のミルファなど一時は三分の一を下回りそうになるくらいまで削られていたからね。早々に武器を破壊できていなかったら、ジェミニ侯爵配下の護衛隊の出番となっていたかもしれない。


 それでも人数の差や武器の有無の差を覆すことはできず、最終的には力尽きる――死んではいないよ!――ことになる。

 いや、もうホントに「いつから武器が一本だけだと勘違いしていた」と破壊する度に武器を取り出してくる、という展開がなかっただけでも一安心だったよ。


 え?もっとボクたちがカッコよく活躍するバトルシーンが見たかった?……それならなおさら省略せざるを得ないね。

 むしろこのままお蔵入りさせて二度と日の当たる場所に出さないようにするべきかもしれない。


 なぜなら……、ピグミーという仮忍者の種族のこともあって、子どもを寄って集っていじめている絵面にしかならなかったからだ!


 まあ、武道の心得のある人やバトルマニアであれば、体格差のある戦い方や多人数で少数を追い詰める方法、逆に多人数との戦い方などと参考にできる点があったかもしれないけれどね。

 特に判官びいきが得意なニポン人ならば仮忍者に感情移入してしまい、いつの間にかそちらの肩をもって応援していた、などとことになってしまう可能性が大です。


 バトルシーンの描写は、でっかい魔物を相手にするのが一番だわね。


「リュカリュカ、治療の最中ですから動かないで」

「あ、はい」


 という訳で、現在ネイトによる治療の真っ最中だったりします。


「それにしても、たった一人の相手にここまでコテンパンにやられちゃうと、苦笑いすらできなくなるね」

「普段わたくしたちがどれだけリュカリュカのテイムモンスターたちに助けられているのかを痛感させられましたわ……」


 特にミルファは壁役としてどっしり構えていなくてはいけないのに、見事に翻弄されてしまい終始押されっぱなしだった。

 こういっては何だけれど、リーヴであれば攻撃されても微動だにせず、仮忍者をその場に釘づけにしてこちらの反撃の機会としていただろう。


「反省するのはいいけど、思いつめたりはしないようにね」


 もっとも、一言で壁役と言ってもリーヴとミルファでは取得している技能も闘技も違っている。そもそも二人の戦闘スタイル自体が大きく異なるのだ。

 だから単純に比較なんてできるものではないし、それでもなお強いて問題点を挙げるとするならば、そうした違いに配慮することなく単純に役割だけしか見ることのできなかったリーダーの、つまりはボクの責任ということになる。


「リュカリュカの責任と言うなら、序盤のアレも良くなかったと思いますよ」


 珍しくネイトがふくれっ面のまま追加で言いつのってくる。

 どうにも彼女には、仮忍者を騙すためにムキになって攻撃するふりをしていたことが御不満であるらしい。多分、最後に怪我を覚悟であいつの剣を掴んだのが気に入らなかったのだと思う。


「あなたは時折、怪我に対してひどく無頓着になってしまうのがいけません」


 ほらね。

 ただ、その指摘は的を射ているものだっただけに、ボクとしては反省せざるを得ないものでもあった。


 これまでにも何度も描写しているように、『OAW』では痛覚を大幅に軽減して、ダメージを小さな衝撃という形で表すようになっている。

 これの是非についてはリアルの多方面で、それこそ偉い学者の先生たちが喧々諤々(けんけんがくがく)と議論を行っているので、詳細な説明およびボクの意見などは省きます。


 ただ、そうした怪我やダメージの表示方法の結果、ボクが良く言えば大胆、悪く言えば無茶な行動をとりがちになっていることは事実だった。

 仲間が命知らずの危険な行動をすれば、怒って叱りたくなるのも道理というものだわね。


「あまり自分を囮にするようなことはしないでください」


 一瞬、「自分じゃなければ囮にしていいの?」という言葉が浮かんできたが、確実にパーティー崩壊の危機となってしまいそうだったので自重する。ゲームだからといって何をしてもいい訳ではないからね。

 まあ、その言動によって発生する全ての事柄に責任が持てるというのであれば、「好きにすればいい」としか言えなくなるのだけれど。


 それはともかく、絶対にするなと言わないところがなんともネイトらしい。


「そう言ったところで、本当に必要だと判断すればやってしまうでしょう?」


 おうふ……。まったくもってその通りだと思う。パーティーの誰かが傷を負うくらいなら、間違いなくボクは自分の身を差し出してしまうだろう。

 それにしても、自分よりも自身のことに詳しい人が仲間にいるというのは、ありがたいような頼もしいような、それでいてちょっと申し訳ないような不思議な気分になるなあ。


 そんなことを考えながら治療を受けている間に、襲撃してきた魔物の解体も終わっていた。

 昨日の宿場町で今いち信用されなかったことを根に持っていたのか、証拠代わりとして今日襲ってきた魔物はできる限り素材に解体して持っていくことにしていたのだ。


 そんなに大量のアイテムを持ち運べるのか?そこはほら、さすがは大国の重臣たるジェミニ侯爵様と言うべきか。

 なんとプレイヤーを上回る収納量を誇るアイテムボックスをお持ちでしたよ。

 もちろんこれはマジックアイテム扱いで、もしもゲーム内で売りに出されることがあれば、国同士の交渉のようなこともでもなければまずお目にかかることがないと言われている百万デナー大金貨――リアルニポン換算だと一枚で一千万円!――が、数百枚単位で行き交うことになるそうです。


 そんな超高価な入れ物へと放り込まれた魔物素材は、一部は襲撃の証拠として本日宿泊する予定の宿場町の役人に見せつけるのに使用し、残りは首都アクエリオスにある冒険者協会で換金することになるとのこと。


「元を取るまではいかないだろうが、今回の旅の費用の一部を(まかな)うくらいにはなるだろう」


 それでも一部にしかならないのだから、貴族様の旅は大金が必要となるのだね。

 一方で人間たち、仮忍者とタマちゃんズに怯えていた三人組の男たちは、どこにも引き渡すことなく一連の取り調べなども全てジェミニ侯爵の手の者が行うそうだ。

 誰が誰と繋がっているのか分かったものではないからね。

 下手に第三者にお任せすると、


「お前たちはもう用済みだ」

「な、なんだと!?ぎゃあああ!?」


 な展開になるのがこの手のお約束だし、侯爵たちの判断はある意味彼らの命を長らえることになるのかもしれない。


18:00 にも更新しますよー。

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