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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十四章 リアルの平凡かもしれない日常

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500/933

500 恐怖とは身近に潜んでいるものである(雑談回)

500話だー!


そして年末です。皆様良いお年を!

明日もいつも通り更新しますよ。

 『異次元都市メイション』はプレイヤーにとって一種の溜まり場である。

 そのため一日中人の喧噪が途絶えることはないのだが、そろそろ日が落ちるという頃合いから日付をまたぐ頃にかけてがやはり一番賑わう時間帯となる。


 そしてVRなので天気や気温に変化はないはずなのだが、冬に向かって日に日に寒さが増してくるリアルの気候を反映してなのか、食堂や酒場が建ち並ぶ東の大通り『食道楽』では酒はもちろんのこと、おでんや鍋料理といった体を温める食べ物が急速に売り上げを伸ばしていた。


 オーナーのフローレンス・T・オトロが秘密で給仕を務めている『休肝日』でもその傾向は健在で、厨房の料理人たちが考案した『カツのせ鍋焼きうどん』が現在の一番人気となっていたりする。



「はあああぁぁぁ……。冷え切った体が芯から温まってくるようだぜ……」


「まあ、こうしている間にもリアルに取り残された身体はどんどんと冷えている訳だが」


「明日の朝に発見された彼は……。きぃやあぁー!」


「不吉な未来予想は止めてもらえませんかねえ!?」


「そしてこちら側でもしっかりと金は減って懐が寒くなるんですね、分かります」


「いや、その通りではあるんだが、せっかく人がいい気分に浸っているのを無理矢理引き戻さないでくれよ!」


「いつまでも夢みたいなことを言ってるんじゃない。ゲームなんて遊びは止めて現実をしっかりと見るんだ!」


「だから、いつの時代のゲーム有害論者だよ!?最近では逆に情操教育に良いとか、規範意識を高める効果があるとか言われてきているはずだぞ!」


「ほーん」


「ふーん」


「すっごく興味なさそうですね!」


「まあな。と、そんなどうでもいい話はどうでもいいとしてだな」


「くっ……。これが殺意というものか……」


「まあまあ、落ち着け。俺たちも悪乗りしたのは謝るからよ。それで、何の話だ?」


「ああ、懐が寒いで思い出したんだけどさ。『英傑召喚システム』の登録料って高くないか?」


「そうか?課金じゃなくてゲーム内通貨(デナー)だから、あんなものじゃないか」


「いやでも、金貨一枚(一万デナー)はぼったくり過ぎてるだろ。こっちは救援に行く側だぜ」


「そこはほら、初心者では登録できないようにするためだろうな。召喚される側は呼ばれさえすればどれだけレベル差がある場所にでも行けるらしいから」


「ほうほう。つまりはパワーレベリング防止のためってことか」


「熟練度の上昇も敵のレベルが高い方が高効率だっていう検証結果もあるらしいし、難易度が高い場所ならその分採取とか採掘で拾えるアイテムも性能が良いものが多いから。そうした諸々を含めての措置だと思う」


「運営としても最初くらいは自力で頑張って欲しいんだろうなあ」


「それもあるけど、ゲームのシステムについて慣れてもらいたいっていう部分もあるんじゃないかね。ほら、VRゲームは今までのゲームとは違って実際に自分の体を動かしているようなものだからさ」


「確かに、コントローラーとかタッチパネルで動かすゲームとは大違いだわな」


「魔法技能もだけど、闘技の動作アシスト機能とか初見だと何事かと思うよな」


「あの勝手に体が動く感覚はヤバい」


「慣れると「後は任せた」って気分になるけど」


「そう言えば『OAW』には操作方法を学ぶためのチュートリアルってなかったっけ?」


「ないな。プレイヤーごとに取得している技能も違えば、立場すら異なっているし」


「本当に『勇者様』で始めているやつがいるのには笑った」


「あえて入れるならキャラクターメイキングの最後になるんだろうけど……」


「あー、俺なら間違いなく「さっさと本編を始めさせろ!」って文句言う自信があるわ」


「俺もチュートリアルとか操作説明は読み飛ばす方だからなあ……」


「お前たちみたいな連中が多いから、運営も見合わせることにしたのかもな」


「事実だから言い返せねえ……」


「その分本編内で情報を集めて自分なりに慣れていけということなんだろうさ」


「なるほどな。英傑召喚だとそれすらもスキップされてしまう恐れがある訳か」


「でも、それで困るのは本人だろ」


「そういう横着をするようなやつに限って自分のことは棚に上げて、やれ説明が不十分だっただの、やれ見通しが甘いだのとクレームを付けてくるんだよ」


「随分と真に迫った台詞だな」


「リアルの知り合いがお客様相談室という名の難癖対応係をさせられているんだよ。で、会うたびに愚痴を聞かされているんだ……」


「うわー……、そいつは辛いな」


「そうなんだよ……。って、言っておいてなんだが、この話は不毛なことにしかならないから話題を変えよう」


「賛成」


「全俺が賛同した。……ところで何の話をする?」


「圧倒的コミュ障かよ」


「ネット上なら大草原だったな」


「ほっとけ!」


「まあ、最近『OAW』での話題が少なくなってきたのは分かる気がする」


「これまでは『テイマーちゃん』が定期的にネタを提供してくれていたからなあ。」


「リアルの都合だったか?ここ一カ月以上まともにログインすらしていないんだろ?」


「学生みたいだからな。テストとか行事で手一杯になっているのかも」


「学生は大変だ。まあ、社会人も大変なんだが、ある程度は金も時間も自分の自由にできるから」


「ただし、社畜は除く」


「それは言ってくれるな……」


「ああ、でも、ごくまれにメイション内をうろついていたらしいぞ」


「休憩とか気分転換は大事だよな」


「いつの間にか休憩時間の方が長くなっているまでがテンプレ」


「どうして試験とかの直前になると、突然部屋の掃除がしたくなるんだろう?」


「そして発見した漫画本とか小説を読みふけってしまって、気が付いたら数時間が経過していたのだった……」


「いーやー!」


「割と本気で、あれは一種のホラー体験だと思うわ」


「確かに恐怖だな。思い出してみるとそれをやって真っ青な顔になっていたやつが毎度クラスに一人はいた気がする」


「あー、いたなあ。……自分も含めてだけど」


「それでも選択問題が多い時は運を天に任せることもできるんだが……」


「偶然それで高得点を取れたことがあったけど、先生にはバレバレだったな」


「何か言われたのか?」


「答案を返してもらう時に「解説をさせられたくないなら、真面目に勉強しておけよ」って釘を刺された」


(こっわ)!」



 聞き耳を立てながら、「身近にあふれるホラー体験集とか作れば、案外反響があるかも?」などと考えるフローレンスだった。


途中休憩を挟みましたが、なんとかここまでやってこられました。

まあ、お話し的にはまだまだ道半ばというところですが。(苦笑)


引き続き楽しんで頂けるように頑張ります。


モチベーションアップやお話作りの原動力になるので、感想やブックマーク・評価など頂けると嬉しいです。

明日はもうお正月ですからね。ここは一つお年玉感覚ということでよろしくお願いします(笑)

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