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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第二十八章 土卿王国へ1 迷宮都市シャンディラ

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389 軍資金が必要です

 入口で手間取ったこともあり、昨日は結局シャンディラに入ったところで時間切れとなってしまった。

 という訳で気を取り直して迷宮都市の観光、もとい情報収集その他もろもろの作業を終わらせていく事にしましょうか。


「何から済ませていけばいいかな?」

「そうですね……。何をするにしても元手が必要になるのは間違いありませんから、冒険者協会で素材の換金をしておきましょうか」


 クンビーラを旅立ってから今日で四日目、通常のんびりペースで旅をすればおよそ一週間はかかるとされているので、かなりのハイペースでここまでやってきたということになる。


 しかもこの間、ボクたちはあえて街道から少し外れた場所を進み、積極的に魔物たちと戦ってきた。

 経験値を稼いでレベルアップを図るためと、チーミルとリーネイを含めた全メンバーでの戦闘に慣れておくためだ。

 さすがに街中では目立ち過ぎるので、シャンディラの到着直前には『ファーム』へと戻ってもらっているけどね。


 その甲斐あってかミルファとネイト十六、エッ君とリーヴも十三にまでレベルを上げることができていた。

 ボクもまたレベル十五となり、新たにテイムモンスターを加えることができるようになっております。

 エッ君たちに不満はないけれど、できれば今度こそモフモフな子が仲間に欲しいと思ってしまう今日この頃なのでした。


 そういった事情もあって、実はボクたちのアイテムボックスにはかなりの量の倒した魔物の素材が詰め込まれているのだ。

 換金するしか使い道がないようなものもいくつかあるので、結構まとまった金額になるのではないかな。


 そうそう、ついでに二つのグロウアームズを手に入れることになったボクの戦闘方法についても説明しておきます。

 えー……、右手に龍爪剣斧、左手に牙龍槌杖を持つというのが基本スタイルとなってしまいました。


 分かってます!

 分かっていますとも!


 いくらボク専用に調整してくれているとはいっても、ハルバードは基本的に両手で持つ武器となる。それを片手ずつで持つとか、どう考えてもおかしい。


 しかしながら、ここら辺がゲームらしいというべきなのか。

 二つを同時に持つ、つまり装備することで両方の武器の攻撃力等々を同時に引きだすことができるようなのだ。


 実はこれ、ミルファ――それとチーミル――にも同じことが言える状態でして。

 彼女の場合は右手の細剣がメインウェポンであり、左手の短剣は防御用に使用されることが多い。ところが実際には右手の細剣で攻撃しただけの時にも、左手の短剣の攻撃力も上乗せされていたのだ。


「もしかしてバグ?」


 と思いアウラロウラさんに確認してみたところ、返ってきた答えは、


「仕様です」


 の一言だった。

 要するに、装備品の欄に登録してある全ての物の効果が発揮されるということであり、ごくごく当たり前なプレイヤーとしては一般常識に近い事柄だったとのこと。


「にゅおおお……。は、恥ずかしい……」

「ああ、そうでした。お渡ししておくものがあります」


 ものの見事に自分の無知を発揮してしまったことで羞恥に悶え苦しんでいると、アウラロウラさんはそう言ってボクの手に三個の技能ポイントを握らせて、無表情のまま去って行ったのだった。


 しばし呆気に取られて見送っていたところにメールが届く。

 それによると、どうやら遅くなっていた合同イベントの時の粗品がこれだったらしい。

 本当であればもう少し前に届く予定だったのだけど、例の事件でシステムの確認や再構築しなくてはいけない部分がいくつも出てきてしまったため、後回しとなってしまっていたようですな。


 粗品の内訳としては一個が参加賞で、残り二個が本戦前の練習のタイムアタックで好成績を残した分ということになるようだ。

 ボクとエッ君にリーヴで一個ずつ使用して、さっそく熟練度の強化に利用させて頂きました。


 ごちそうさまです。で、時間軸を現在に戻しまして。


「素材を売って軍資金ができたら、新しい装備とまではいわないけれど、アクセサリー類くらいは買い込んでおきたいところだよね」


 先ほども述べたように、装備欄に登録している物の効果は全て発揮されるようになっている。

 よって装備欄に空きがあるということはそれだけ損をしているということになってしまうのだ。


 ちなみに装備できる箇所は、武器を持つことができる『右手』と『左手』の二カ所と、防具類の『頭』に『上半身』と『下半身』それに『脚』の四カ所に加え、アクセサリー枠として四つの計十個を装備することができるようになっている。


 現状のボクの場合はこうだ。


 右手、龍爪剣斧。

 左手、牙龍槌杖。

 頭、なし。

 上半身、マジシャンローブ。

 下半身、丈夫な服(下)。

 脚、獣皮の靴(金属補強入り)。

 アクセサリー1、帰還の首飾り。

 アクセサリー2、銀のブローチ。

 アクセサリー3、なし。

 アクセサリー4、なし。


 つまり、何とまだ三カ所も空きがあり、これを埋めるだけでもお手軽に防御力などを上げることができるということになる。


「わたくしは頭部を守るものが欲しいですわ」

「そうですね。リュカリュカもミルファも前に出ることが多いですから、帽子類ではなく頑丈なヘルムを選んでおく方が無難でしょうね」


 (ヘルム)かあ……。あまりかっちりした物だと視界が悪くなってしまいそう。

 そんなことを考えながら視線を向けた先に居たのは、ボクたちの中で唯一兜を装着しているリーヴだ。まあ、あの子はリビングアーマーという種族だから、視界が遮られるということはないのかもしれないけれど。

 そもそも、どこに目があるのかはっきり分からないし。


 それともう一つ、ある意味ではこれよりももっと切実な問題も存在していた。


「だけど、この格好でヘルムだけ頑丈そうだと変じゃないかな?」


 マジシャンローブと丈夫な服だからねえ。後衛寄りの軽装なのに、頭だけガチガチの前衛用の金属製のヘルムなんてかぶってしまうと……。

 うん。想像の中ですら完全におかしな人だわ。


「……確かに全身の装いのバランスなどは考えるべきですわね」


 眉をしかめながら言うミルファの台詞に、ネイトも思わずといった調子で苦笑いを浮かべている。

 これは、思った以上に厳しい商品選び(たたかい)になりそうだ。


 まあ、それ以前に軍資金が確保できなければお話にならない訳ですが。

 高値で買い取ってくれると良いけれど。そんな期待を胸に、ボクたちは一路冒険者協会の建物を目指して歩いていった。


〇アクセサリーについての補足説明

 重ね着など同一箇所の装備枠に当たる場合は、一つが該当箇所の装備品となり、残りはアクセサリー枠に回される。

 ものによっては後からでも変更可、見た目、数値共に変化はなし。


例1、『インナーシャツ』と『鎧』と『マント』

 『鎧』が上半身装備枠に当てはめられ、残る二つがアクセサリー枠となる。(変更可)


例2、『盾』と『腕輪』、もしくは『剣』と『腕輪』

 『盾』もしくは『剣』が該当する手の装備品となり、腕輪はアクセサリー枠に。(変更不可)


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― 新着の感想 ―
[一言] 両手武器という枠になるんじゃないのか つまり大剣二刀流か大槌二刀流が最高に脳筋?
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