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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第二十二章 三度目の地下遺跡

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300/933

300 待望の続き

祝! 300話!

そしてお待たせしました。本編再開です。

 そしてようやく待ちに待った夜の到来だ。長かった!これほど一日が長く感じられたのは本当に久方ぶりのような気がする。

 ほとんど身の入らなかった宿題と課題の進み具合については……、お察しください。改めて明日の日中は頑張らないとまずいことになってしまいそうだ。


 ということで明日の英気を養うためにも、今からはお楽しみタイムなのです!ボンキュッボンのないすばでーと同じく、何事にもメリハリが大切なのだ。


「室温良し!服装良し!」


 VRを起動させる前に最後の確認を行う。

 現在のボクは食事もお風呂も済ませて、そのまま就寝できそうな格好となっております。ついでに言うとお花摘みも完了しているぞ。

 ……誰ですか、雉撃ちの間違いだろうだなんて失敬な事を言ったのは!?一人称がボクでも、男性でも男の娘でもないれっきとしたレディなんだからね!


 専用のヘッドギアをかぶって、ベッドに体を横たえる。そういえば里っちゃんから譲ってもらった頃は品薄で「持ち歩いていることが知られたら襲われるかもしれない」などと嘘とも冗談ともつかない噂が流れることがあったヘッドギア(これ)も、三カ月近くが過ぎてようやく生産と供給が需要に追い付き始めたらしい。

 それでも未だに最新式であることには変わりがなく、高い人気と高いお値段を誇ったままであるのだそうだ。


 そんな物を平然と当ててしまう――この春に行われていた『笑顔』のカムバックキャンペーンの抽選に見事当選したのだとか――のだから、里っちゃんのリアルラックは本気でとんでもないことになっていると思うよ……。

 余談だけど、彼女が『笑顔』内でも有名な『コアラちゃん』――正式なキャラクターネームは『ユーカリ』ちゃんです――だったことと当選には全く関係がなかったそうで、抽選を行った運営の担当が一番びっくりしていたのだと、先日アウラロウラさんがこっそりと教えてくれた。

 ……一応、別ゲームということになっているはずなのに、どうしてあの猫さんはそんなことを知っていたのだろうか?相変わらず謎過ぎるお方だ……。


 そんな埒のない事を考えている間に『OAW』の起動準備も整ったようだ。

 明日をスッキリと迎えるためにも、今度こそあの地下遺跡の謎を全部解明してやるんだから!そんな風に心の中で気合いを入れながら、いざログイン!


「ボクは帰ってきた!」

「ちょっとリュカリュカ、うるさいですわよ」


 第一声を上げたところ、即座にミルファから冷ややかなお言葉をちょうだいすることになってしまったのだった。


「あ、ごめんなさい」


 出だしからクラッシュアイス入りの冷水をぶっかけられてしまったような状態になってしまったが、今のは明らかにこちらが悪いので素直に謝罪しておきます。

 ボクにとっては約一日ぶりの待望の時間でも、エッ君とリーヴを含めたパーティーメンバーたちからすれば刹那の一時が過ぎただけなのだ。


 加えて、石板という重要な情報源となりそうなアイテムをようやく見つけたばかりでもあった。いきなり大声を上げられて、彼女たちの方はさぞかし水を差された気分となってしまったのではないだろうか。

 冷ややかな口調と声音ではあっても、あれくらいの注意だけで終わらせてくれたみんなの恩情には感謝すべきなのだろうね。

 ……別段、ボクが突然奇行に走るのは当然のことだと、慣れっこになっているって訳じゃないよね?


 そこはかとない不安感を覚えながらもみんなと一緒に、一番上に置かれていた石板から順に目を通していく。

 そこに記載されていたのは、まさに驚きの連続と呼べるようなことの数々だった。


 まず、最初である一枚目からして度肝を抜かれた。何とこの石板を刻んだのは今から七代前のクンビーラ公主だったお人、つまりは例の冠の本来であれば最終的な持ち主にしてイベントクエスト『墓所探索』の目的である、お墓が行方不明になっているお方だったのだ。


「刻まれている署名から見ても、七代前の御先祖様で間違いないようですわ」


 誰かが勝手に名前を語ったという線は残っているが、この世界では貴人に成りすましたのがバレると命に直結するような罰を受けさせられることになる。

 ミルファたちにとっては大切なご先祖さまではあっても、クンビーラ公主としての彼は特筆しなくてはいけないほど大きな成果を残してはいない。

 はっきり言ってそんな危険を抱え込んでまでわざわざ彼の人の名を用いるだけのメリットはないと思われるのだった。


「それにしても、これはまた予想外もいいところだったね……。まさかこんな展開が待ち構えていたとは考えもしなかったよ」


 それというのも、宰相さんから聞かされた「別の場所に墓を作らせた」という話はフェイクであり、当時の公主妃様とも一緒に、彼は歴代公主一族の墓で安らかなる眠りについていたからだ。


「ええ。わたしも驚きと困惑でしばらく思考が停止してしまっていました。それでもクンビーラ公主の御一族や『泣く鬼も張り倒す』のお二人に、果てはブラックドラゴン様に出会っていなければ、何が起きているのか理解できなかったかもしれません」

「そうやなあ。……でもネイやん、あの人たちとの関わりができとったから、こんなことに首を突っ込むことになったとも言えると思うんやけど?」

「そこはリュカリュカたちに出会ってしまった時点でそうなってしまう運命だったのだと諦めています」


 確かにボクやミルファと関係を持ってしまったからこそ、ネイトやエルはここに居るのだと言えるだろう。

 だから彼女の言うことは間違ってはいない。でもね、もう少し言い方というものがあると思うの!

 最近とみに言い回しがきっつくなっていませんかね?癒し役――回復魔法の使い手だからね――が舌鋒(ぜっぽう)鋭いとはこれいかに!?


「リュカリュカと一緒の扱いというのは、わたくし納得がいきませんわ」


 ミルファシアさんや、ずけずけと言いたい放題の相手を理想の友とは言えないと思うのですが?


「ミル嬢はミル嬢で突っ走り過ぎやからな。まあ、分かりやすい方面ばっかりやから比較的手綱は操りやすいけれども」


 と、エルからは暴れ馬認定されているミルファなのでした。


「色々と問い質したいことや言いたいことはあるけれど、今は石板を読み進めていくことが先決かな」

「……そうですわね。まずはやるべきことから手を付けていくべきですわね」


 ちょっぴり釈然としない思いを抱えつつ、宣言通り石板を読んでいく。


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