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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第二十一章 不機嫌な日常

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291 時間切れ、だと……?

気が付けばPVが70万、ユニークアクセスも9万を超えており、それでもってブックマークも700件を超えていました。

ありがとうございます。これからも頑張ります。

 重なっていた石板を横に並べるという重労働を終えて息を整える。ようやく色々な秘密が解明されそうだとあって期待に胸が高まりますですよ。

 全員で顔を見合わせて頷きあうと、広げた石板を一斉に覗き込む。

 と、その時、


 ピピピピピピピピ。


 脳内に軽快な電子音が響き渡ったかと思うと、ボクの視界のど真ん中にデカデカと「ログアウト予定時間が迫っています」の文字が。


 うっそ!?

 もうそんな時間なの!?


 驚きながらも一縷の望みをかけてリアルでの時間を表示させると、無情にもそこには二十二時五十九分の数字が躍っていた。


 こ、ここからがいいところだったのにー!!

 心の中で声にならない悲鳴を上げて、さらには声にできない不満を叫んだところでどうにもならない。それというのも、明日は夏休み中であるにもかかわらず登校日ということで、学校に行かなくてはいけないからだ。


 しかも「夏休みで生活リズムが崩れてしまっていてはいけない」という学校側の言い分――最初聞いた時には「ボクたちは小学生か!?」と突っ込みたくなってしまったよ……――によって、いつも通りの時間に登校しなくてはいけない。

 よって今日に限っては、夏休み期間中なので多少は目こぼしされていた夜更かしすらできないのだった。


 はい。詰んでいますね。結局ボクにできたのは「せめて一日どちらかにズレていれば……」と愚痴を言うことだけで、後ろ髪が豪快に引っ張られているのを感じながらも泣く泣くログアウトしたのだった。


「くうっ!これで原因のストレスでハゲができたりしたら訴えてやるんだから!」


 そんな訳の分からない捨て台詞を残して不貞寝(ふてね)をした翌日、予定通りの学校ですよ。

 今日が提出日である一部の課題を忘れてきたらしく数名の男子が上げている悲鳴をBGMにしてのんびりと過ごす。

 それにしてもやはりと言うべきか、夏休み期間中の強制登校にクラスメイトたちも全体的にローテンション気味のためクラス全体の雰囲気が暗い感じがするね。


「ねえ、優」

「はい?何でしょうか、星さん」


 微妙に遠慮がちに話しかけてきた雪っちゃんに何か御用と尋ね返す。

 すると思いっきり「はあ……」と盛大にため息を吐かれてしまった。その上なんと、


「ていっ!」

「あいたっ!?」


 いきなりボクの脳天に向かってチョップをかましてきたのだ!


「いきなり何するのよ!?」


 言外に、か弱い女の子にチョップするとか酷くない!?という意味合いも込めて抗議の声を上げる。


「それはこっちの台詞。ただでさえ夏休み中の登校日で気が滅入りがちなのに、朝っぱらから不機嫌オーラを垂れ流しているんじゃないわよ」


 しかしそれは呆気なく切り捨てられてしまい、それどころか逆に返す刀でずんばらりんと斬り込んでこられてしまった。

 そんなに不機嫌になっていたのかしらん?と思いながら周囲へと目を向けてみると、どう反応していいのか分からずに困った顔になっているクラスメイトたちの姿が。


 なるほど。雪っちゃんの台詞ほどではないにしても、ボクが知らず知らずの内に醸し出していた雰囲気が影響していたのは確かなようだ。


 一つ大きく息を吸い、ゆっくりゆっくり吐いていく。そうすることで無意識にざわついていた内心を落ち着かせていく。

 その後もう一度普通に深呼吸をすれば、心の中で吹き荒れていたまるで急き立てるような焦燥感も、意識しなければ分からないくらいにまで弱めることができたのだった。


「ふう……。心配かけてごめんね。落ち込むこともあるけれど私は元気です」

「ああ、うん。そこで即座にネタを入れてくることができるくらいに復活したのはよく分かったわ」


 そんなボクたちの会話が聞こえたところで雰囲気も変わったことを感じ取ったのか、周囲のクラスメイトたちを中心に張り詰めるようにクラス内に充満していた空気が弛緩していく。

 仕込んだネタちゃんもしっかりと役割を果たしたようで何よりです。まあ、強制的に突っ込み役に任命されてしまった雪っちゃんだけはちょっとばかり疲れた顔をしていたけれど、そこはチョップへの仕返しということで甘んじて受け入れてくださいな。


「それで、優がそんなになるなんて一体何があったの?里香と喧嘩でもした?それともついに里香に告白して振られちゃったの?」

「え?ちょっと待って、なんでそんな変な二択なの?」

「だって優がそこまで不機嫌になるなんて里香関係以外にはあり得ないでしょう」


 ええと……。どうやらとんでもない誤解が広がってしまっているようなのですが。


「あの、いくら仲が良いとは言っても四六時中彼女のことを考えている訳じゃないんですけど」


 精々が全体の思考の一割程度しか里っちゃんのことを考えてはいないと思う。


「大丈夫よ、優。世間一般だとそれだけ想うことができるのは愛しい相手くらいなものだから!」


 雪っちゃん、ドヤ顔でサムズアップは止めて。というか、いつの間にかボクたちの周囲に女子たちが集まって来てるんですけど!?

 そして近付くほどではないにしても、その他の人たちもこっそりと聞き耳を立てているのが見て取れる。あっちの窓際の三人などは気のないふりをしているけれど、お耳はしっかりダ〇ボちゃんになってますよ。

 その上、よくよく見てみるとクラスメイト以外の人たちもちらほらいるような……?


「ちょっ!?河上先輩のクラスの教室って南棟でしたよね!?もうすぐホームルームが始まっちゃいますよ!?」


 その中にしれっと紛れ込んでいた同じ中学出身の先輩に問い質す。これで時間に気が付いて解散になってくれればありがたいのだけれど。


「三年は顔見せが中心だから多少どころじゃなく遅れても平気よ」


 いやいやいや。いくら三年は各自の自主性に任されているとはいっても限度というものがありますから。普通に遅刻とか欠席扱いになっちゃいますよ!?

 そして河上先輩もとっても良い笑顔でサムズアップするのは止めて。

 まさかの難敵出現に机の上に伸びてしまいたくなる。


 ちなみに彼女は里っちゃんの二代前の生徒会長だったお人で、一年生ながら生徒会役員に当選した里っちゃんの様子を見に生徒会室に通う内に、次期生徒会メンバーを指導していた彼女とも顔馴染みになったのだった。


「それにしても優華ちゃんを振っちゃうだなんて、三峰さんも見る目がないわよね。優華ちゃんほど献身的な子はそうはいないわよ」

「待って待って。私振られてませんから!というか里っちゃんとはそういう関係じゃないですから!」

「え?そうなの?」


 なぜにそこまで心底不思議そうな顔をされますかね、この先輩は。

 そんなこんなで登校日の朝は、担任の先生がやって来るまで騒がしく過ぎていったのだった。


時間切れ……。

誰しもが一度は体験したことがある事だと思います。


常にきりの良いところまでプレイできるとは限らないんですよね……。


でも、まだセーブできるだけマシと言いますか、ファ〇コン時代などは最初からやり直しというゲームも多かったですからねえ。

後、パスワードのミスがシャレにならなかった……(遠い目)

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