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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第二十章 地下遺跡探索2

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283 ぐるぐる渦巻き

今日で連載開始から一周年となりました。

引き続き、これからもよろしくお願いします。

 何度か繰り返していれば慣れる、と自分で言った言葉の通り、数回も戦闘繰り返しているとアニマルタイプのゴーレムには問題なく対処できるようになっていた。

 ただ、これには最初の時とは異なり魔物の追加(おかわり)がなく現れた目の前の相手にだけ集中できたということも大きい。

 一度に登場する数の方も、最大でこちらの人数と同じ六体までだったしね。


「壁画の仕掛けがあったから予想はしとったけど、間違いなくこの遺跡は生きとるみたいや。ゴーレムしか出てこんのもそのせいやろうな」


 エルによると、普通こうした遺跡というのは様々な機能が停止しており、そのためかどこからともなく魔物が入り込んで繁殖し、独自の生態系を作り上げているものであるのだとか。

 まあ、遺跡(・・)と呼ばれるくらいなのだから、それも当然といえば当然のことではあるかな。


「そんくらいなら序の口で、盗掘され尽くしてしもうとって小銭の一枚すら残っとらんようなこともあるな。逆に住み着いた魔物にやられたり罠に引っ掛かったりしたやつらがアンデッドになっとったいう話もある」


 アンデッドモンスターというのは基本的に厄介で面倒な種類だ。ゴーストやスペクターといった幽体のものは物理系の攻撃が効き辛いし、スケルトンやゾンビといった物質の体を持つ連中の場合にはどんな攻撃も有効ではあるものの、死んでいるゆえかゴーレムたちと同じように弱点らしい弱点が存在しなくなっている。


 さらに、見た目がホラーで怖くて恐ろしくて何より気持ち悪いという圧倒的な負の特徴を持っているのだ!

 ゲームということである程度簡易表現にはなっているけれど、それでもかなりグロイ。特に腐乱死体系といわれるゾンビやグールなどの気持ち悪い姿と言ったら!

 できる事ならばそういう魔物とは一切お付き合い――どつきあい?――どころか、視界の片隅にすら入れたくないというのがボクの偽らざる本音というやつだったりする。


 そんな魔物連中が出てこないだけでも、今回の地下遺跡は良心的なのかもしれない。

 もっとも、ゴーレムな魔物の出現頻度は少しずつ上がっていたけれど。それにはどうやらこの地下遺跡の構造も関わっているみたい。


「また右への曲がり角……」

「これで魔物が出現するようになってから七回目、この地下遺跡に降りて来てからだと九回目の曲がり角ということになりますわね」


 視界の外れに表示された地図へと意識を集中してみると、外側から四角形の渦を描くようにしてボクたちの足取りが記されていた。


「今までの通りであればこの先にもゴーレムが待ち構えているはずです。十分注意してください」


 ネイトの台詞に気持ちを引き締め直す。ゴーレムたちはそれぞれ直線通路の中央付近で出現するようになっていた。むしろそこに配置されていると言った方が妥当かもしれない。

 その通路が徐々に短くなってきたことで、ゴーレムの出現頻度が上がってきたという訳だ。


 反対に言えば、休息や回復のための時間を取らなくてはいけないほどの消耗をすることなく、ここまで順調に進んでこられたということにもなるかな。


 そして、曲がり角の先にいたのはゴーレム三種の中でも最弱のヒューマンタイプだったこともあって、今回もピンチらしい危機におちいることもなく戦いに勝利したボクたちなのだった。


「不可解や」

「どうしたの?」


 楽勝だったことを喜ぶこともなく、不機嫌そうな顔で言い放ったエルに詳しい説明を促す。


「隠し通路もなければ隠し小部屋もない一本道で魔物が配置されとるとなると、まず間違いなくうちらの実力を試す言う意味合いがあるはずや。それやのに敵の強さが変わらんいうんはおかしいで」


 ふむふむ。確かに試練的な展開から考えると、少しずつ敵が強くなっていくというのは王道だよね。

 ところがどっこい、現在ボクたちが絶賛攻略中であるこの地下遺跡では、三種のゴーレムが次々と投入されてきた初回が一番苦戦することになった。


 しかもつい先ほどの戦いなどはこれまでで一番簡単だったほどだ。

 もっともこれには何度も戦闘を行ったことによる、対ゴーレム戦のノウハウがボクたちの中にでき上っていたという点も大きく関係しているはずだ。


 そうしたプレイヤー側が成長する分も加味しなくてはいけないのだから、王道展開というのもいざ設定するとなると案外難しいものなのかもしれない。


 まあ、今回の場合はそういう点を抜きにしても敵の強さが変だとは思うけれど。

 特にヒューマンタイプ。だからせめて武器くらいは持てと言いたい。材質と構造から腕を振り回す、いわゆる駄々っ子パンチですら危険な技になりかねないというのは理解できた。

 が、それしか攻撃手段を持たないとなれば、やっぱりどうとでも対処のしようがあるのだ。具体的には振り回す腕が届かないエッ君――きっとそのうち大きくなるだろうから、いじけないいじけない――による足払いからの一斉攻撃や、近付いてくるまでの間にひたすら魔法を撃ちこんで倒しきる等々だね。


 その辺は一旦置いておくとしまして。

 その通路は今までとは少し違っていた。これまでと同じであると仮定した長さの半分ほどしかなかったのだ。

 そして行き止まりとなる所の右側に、細やかな装飾が施された巨大な扉が備え付けられていたのだった。


「これ見よがしに、この先には何かがあると主張しているような扉だね」

「実際、リュカリュカの言う通りなのでしょう」

「問題はこの向こう側に何がある、もしくは何がいるのかということでしょうか」


 そのままゴール地点、という可能性も考えられるけれど、ありがちなのはやっぱり最後の試練と称する何かが待ち構えているという展開だよねえ……。

 特によくあるパターンとしては、やっぱりボス級モンスターが居座っているという流れかな。


「残念ながら三人共、それはちょっと気が早いっちゅうもんやで」


 扉の向こうに思いを馳せていたボクたちだったが、エルのその一言で思いっきり現実へと引き戻されることになった。


「えっと、もしかして開け方が分からないとか?」

「いいや。開け方自体はちゃんと分かったで。要は壁画の仕掛けと同じや。この窪みにカギとなる何かをはめ込めばええだけやな。まあ、そのカギになるもんがさっぱり分からんのが問題と言えば問題やけどな」


 しかもその窪み、壁画の時とは違って十個もあるじゃないですか!?


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