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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十七章 『銀河大戦』3 二日目

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240/933

240 エキシビジョンバトルを終えて

 その後は、決着が中途半端になったことから「チーミルたちをテイムした方法についての情報の公開はあるのか?」という質問に答えたり、「巨大ロボに大穴を開けたアレは一体なに!?」という疑問をいなしたりしている内に、試合終了となってしまった。


 ちなみに、テイム方法についてはこれだけ大きな話になったので一応運営に一言入れる必要がありそうだとして、詳しくは明日以降に更新する『冒険日記』をお楽しみにという形とすることにした。

 そして巨大ロボを破壊したあの攻撃だが、エッ君の〔不完全ブレス〕の技能を使ったのは今回が初で細かな仕様については全然知らないと言い逃れ、こちらも運営に丸投げ、もとい説明をお任せすることにしたのだった。


「『テイマーちゃん』、またやろうね」


 試合終了直後、ユーカリちゃんから別れ際にそう言われたボクは、苦笑いで「まあ、機会があればね……」と返すだけで精一杯となっていた。

 とりあえず、これがきっかけとなってリアルで本格的な喧嘩が発生しないようにできなければ実現は難しいだろうと思う。そんな葛藤が分かったのだろう、「ふふふ」と可愛らしく笑いながら、彼女は姿を消していったのだった。


「敵わないはこちらの台詞なんだけどなあ……」


 気が付けば、見えなくなったユーカリちゃんに対してボクはそう独り言ちていた。


「どちらも相当なくせ者であるように思えますわ」

「本人たちは気が付いていないようですが、似た者同士ということなのでしょう」


 何やらチーミルたちが失敬なことを言い合っていたようだが、きっと気のせいだろう。


 そういえば、試合の結果はどうなったのだろうか?

 戦いを止めてからもユーカリちゃんを引き付けておくという任務は続行できていた気はするので、少なくとも完全な役立たずではなかったとは思うのだけれど。

 それでも戦線離脱状態だったから貢献度的には微妙かもしれない。


 終わったことをいつまで悩んでしても仕方がないことか。この後の午後からは本番の準々決勝がある事だし、気持ちを切り替えなくちゃね。

 エッ君以外の子たちも『ファーム』へと移動してもらい、ボクはエキシビジョンバトルの会場を後にしたのだった。


 さて、少々駆け足となるがその後のこともお話ししておこう。

 まずはイベントの本番についてだけど、ボクたち『テイマーちゃんと愉快な仲間たち』は一つ目の準々決勝で呆気なく敗退した。

 〔不完全ブレス〕の使用以降エッ君が調子を崩したままだったこともあり、他の子たちの参加も見合わせていたことからボクの戦力は激減してしまった。

 加えて、ボク以外のチームメンバーたちもそれぞれエキシビジョンバトルで大いに活躍していたことから、敵対する三チーム全てから徹底的にマークされてしまい、最後まで自分たちの良いところを発揮すると事ができずに完封負けとなってしまったのだった。


 そしてユーカリちゃんたちのチームも準決勝で敗退となっていて、優勝したのはなんと!ダークホースですらなかった特に名前が知られている訳ではないプレイヤーさんたちばかりが集まったチームという、ある意味誰も予想していなかった形で幕を下ろしたのだった。


 ちなみに、決勝に残った四つは全て『笑顔』と『OAW』のプレイヤー混合のチームだったので、両ゲームのプレイヤー間の対立関係をなくすという運営の裏の目的にも合致したものだったようだ。

 『笑顔』側だけだったけれど、異様に対立を煽っていたり『OAW』への敵愾心を持っていたり、はたまた態度やマナーが著しく悪かったプレイヤーの排除も行われたことだし、これからはいい感じに交流が進んでいくことになるのかもしれない。


 そうそう、隠しボスの巨大ロボに大穴が開いてしまった理由だけど、やはり原因はエッ君が放った〔不完全ブレス〕にあったようだ。

 エキシビジョンバトルの後すぐに行われた運営の説明――お話ししていたのは例によってアウラロウラさんです――によると、あれには『オブジェクト破壊』なる効果が付与されていたために発生したことなのだとか。


 通常、プレイヤーやNPCさらには魔物の行動では建物や森の木々などを壊すことはないように設定されている。〔火属性魔法〕とかあるのに火事になったら危険で大変だものね。

 まあ、「リアリティがない!」といって噛みつく人もいるのだけれど、それについては別問題なのでここでは詳しい話は省きます。


 対して、レイドボスなど一部のボス級モンスターには、強過ぎる演出効果分も含めて『オブジェクト破壊』が付与された攻撃方法が設定されていた。

 エッ君の場合は『竜の卵』クリア後の展開とあのブラックドラゴンとの関連から、〔不完全ブレス〕にのみこの効果が付与されていたらしい。

 つまり、もしも町の中で使用してしまったりなんかすると、一瞬で瓦礫の山ができてしまうのだ。


 おじいちゃんたちに初めて出会った日にそんな話をした覚えがあるけれど、まさか本当にそれが可能だったとは……。

 三流冒険者の皮を被ったごろつき相手に切れかけたエッ君を引き留めて良かったと改めて感じながら、背筋が冷たくなったのでした。


 えー、さらに余談ですが、あのブラックドラゴンの場合は、全ての行動(・・・・・)に『オブジェクト破壊』効果が付いている、らしい。

 つまり寝ぼけて尻尾が外壁に触れたりなんかするだけで、壁に巨大な穴が開いてしまう可能性があるのだそうだ。

 近い未来にそれを聞いたボクは、クンビーラの守護竜をお願いしたのは失敗だったかもしれないと後悔することになるのだった。


 話を戻そうか。このように危険で甚大な被害が発生する可能性がある効果なので、多数の人が同じ一つの世界を共有する『笑顔』ではプレイヤー側に実装される予定はないと明言されていた。

 『OAW』ではプレイヤー個々人ごとのワールドとなるので、完全に排除はしないが、プレイヤー自身ではなくエッ君のようにテイムモンスターやサモンモンスターの中にそうした効果のある技能持ちが居るかもしれない程度に抑える方針であるのだそうだ。


 こうした運営の考え方や方針が示されたことで、この件に関しては表面上は落ち着きを取り戻しているように見えた。

 それでも羨ましがったり贔屓だとごねたりする人が一定数はいるようだけど。


 ボクとしてはエッ君の負担が大きいと分かったので〔不完全ブレス〕は封印とする方向です。


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