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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十六章 『銀河大戦』2 一日目午後

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216 一日目終了(雑談回)

 リアル時間で八月最初の土曜日。午後五時を過ぎた頃合いから『異次元都市メイション』の人出は一気に増加していた。

 閑散としていた食堂兼酒場の『休肝日』店内も、いつの間にかそこかしこのテーブルで客たちの姿が見られるようになっていた。

 それに合わせるかのようにオーナーであるフローレンスも、いつもの給仕服を身にまとっては店内を忙しそうに行き来し始めるのだった。



「あー……、色んなことが起こり過ぎて消化不良気味なんだが……」


「安心しろ、俺も同じだから大丈夫だ!」


「いや、何が大丈夫なのか全然分からんから。とにかく、少し情報を整理してみようぜ」


「まずはあれだな、おバカどもの×印――」


「それはどうでもいいわ」


「だな。それよりもやっぱり『テイマーちゃん』だろ!」


「で、その次が『コアラちゃん』との双子発覚か」


「あれにはビビったわ。『笑顔』との合同イベだっていうのも全部吹っ飛んだから……」


「国内初の試みだったっていうし、ニュースとかでもエンターテイメント系のトップ記事として大々的に取り上げられるくらいの快挙なのにな」


「本戦が始まった昼以降も、魔法の奥義の発覚に、『テイマーちゃん』のテイムモンスターたちの参戦……。って、これほとんど『テイマーちゃん』が関わってるじゃねえか!?」


「あ、それなんだが、『テイマーちゃん』も例の魔法が使えるらしいぞ」


「はい?」


「三回戦で明らかに通常よりも大きい【アクアボール】をぶっ放していたらしい」


「マジかよ……。今日のイベントは見事に『テイマーちゃん』一色じゃねえか」


「まあ、ゲーム開始直後に極悪イベントの『竜の卵』をクリアしちゃうくらいの娘だから」


「それで納得できる辺り、俺たちも大概『OAW』に毒されてるな」


「それは言わない約束だよ、お父っつぁん」


「誰がお父っつぁんか」


「……ところで、彼女が顔を見せた時に叫んでいるやつらがいたよな?」


「ああ、それね。『異次元都市メイション(ここ)』で彼女を見かけたことがある人だったり、知り合いになったりしていたプレイヤーらしいわ」


「え?マジで!?」


「ここ一週間くらいは頻繁に顔を出していたみたいよ。ほら、一週間前の行列の先頭にいたのも『テイマーちゃん』だったって話」


「なるほど。あの娘が『テイマーちゃん』だから、わざわざアウラロウラが出張って来てまで案内していたのか」


「そういうこと。後はまあ、男どもが余計なちょっかいを出さないようにあらかじめ牽制しておくっていう理由もあったのかもしれないわね」


「あの外見ならお近づきになりたいと考えるやつもいるわなあ……」


「可愛かったもんな!」


「それには同意する。まあ、アバターだから中の人と同じかどうかは分からないけどな」


「それなんだけど……、『コアラちゃん』とそっくりだったことや、造形が不自然じゃなかったことからリアルに近い顔つきなんじゃないかって言われているわね」


「造形が不自然じゃないってどういうことだ?」


「いくら美形でも二次元に寄り(マンガ・アニメ顔)過ぎていると違和感を覚えるでしょ」


「納得。あれ、微妙に怖いよな。立体なのに平面みたいっていうかさ」


「分かる。そして本人が頑張ったのも分かるから、突っ込むに突っ込めないんだよなあ」


「二次元のものを三次元にするとおかしくなるっていうのは昔から言われてたことだから。ほら、着ぐるみや縫いぐるみですら「どうしてこうなった!?」って言いたくなるキャラは多いし」


「やはり二次元は俺たちにとって夢の世界でしかないのか。紳士たちの慟哭が聞こえてくるようだぜ……」


「止めよう。これ以上この話題を続けると不毛な議論に発展しそうだ」


「了解。話を戻すと『テイマーちゃん』のアバターがリアルに近いっていうもう一つの理由が、『コアラちゃん』とそっくりだったこと、だっけか?」


「そうよ。いくら双子だからと言って、趣味や嗜好まで完全に一致するとは限らないでしょう。それでも二人の顔が瓜二つだったのは、自分たちの顔を基にしているからだろうと言われているのよ」


「ほほう、なるほど」


「ふむふむ。そういうことか」


「お前ら……。絶対分かってないだろ」


「そそそそんなことありません!?」


「わ、我々を愚弄するつもりか!?」


「はいはい、よく分からないネタは後でやって。ともかく、『テイマーちゃん』はリアルでも美人の可能性が高いってことよ」


「ほほう!なるほど!!」


「ふむふむ!そういうことか!!」


「うっわ……。さっきよりもあからさまに反応が良くなってやがる。というか、だからと言ってお前らが相手にされる訳じゃないんだが、そこのところ理解してるか?」


「ぐふう……」


「げはあ……」


「あらら。考えてもいなかったって顔ね」


「そもそも出会える機会があるのかすら定かじゃないってことにも気が付いていないな。まあ、明日のエキシビジョンバトルの時なら少しは確率が上がるか?」


「!!そうなのか!?」


「無理じゃないかしら。だって運営の発表によれば今日のイベント参加者は『OAW』の方だけでも約三万人だそうよ。『テイマーちゃん』はリーダーだからこっちからは見えたとしても、彼女からすれば私たちなんて十把一絡(じっぱひとから)げの一般プレイヤーでしかないもの。これまでに接点がある訳でもないから個別に認識してもらうことすら難しいと思うわ」


「あ、あげてから落とすとか、酷い……」


「現実を直視しろと言っているだけよ」


「そんな正論は聞きたくないんじゃー!」


「ゲームの中でくらい夢見たっていいじゃない!」


「それは否定しない。というか、正論だとは認めるんだな」


「そこはまあ、それなりにリアルでの人生経験があるし……」


「一応は社会人だし……」


「そ、そうか。まあ、強く生きろよ」


「慰められた!?」


「いや、待て。どちらかというと見捨てられてないか!?」


「さて、本戦には負けたけど明日はエキシビジョンバトルがあるし、そろそろログアウトするかー」


「あ、フローラちゃん。おあいそお願いねー」


「はーい!」


「え?ちょっと待って!ねえ、俺たちの話を聞いて!?」


「見捨てないでえええ!!」



 そんな会話を聞きながら、明日に備えるためにも今日は早めに店仕舞いをした方が良いのかも、と考えるフローレンスだった。


公式イベントへの参加人数ですが、


16384チーム = 64チーム(準々決勝進出チーム数) × 4の4乗(4チーム×4回戦)

98304人 = 16384チーム × 6人(チームメンバー数)


ということになっています。(計算間違っていませんよね……?)


実際にはチームの人数合わせやチーム数合わせのために、こっそりと運営が参加しているのでもう少し減ることになります。

人数比は 2(笑顔):1(OAW) なので、OAW側の参加人数は約3万人。


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