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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十六章 『銀河大戦』2 一日目午後

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205/933

205 二回戦終了

「第二試合開始まで残り十分を切りました。約二分後に第二試合の会場へと転移いたしますので、ご注意ください」


 アウラロウラさんの声での放送にハッとなるボクたち。


「うにゃあ!結局『キングオブデビル』の動画を見て、過剰積み込み(オーバーロード)対策を考えるだけで終わっちゃった!」


 ユーカリちゃんチームの一回戦の様子くらいは確認しておきたかったのになあ。

 まあ、参考にはならない可能性大だけどさ。


「仕方ないわよ。それだけ『キングオブデビル』の一回戦は衝撃的な展開だった訳だし。それと貴重な情報を得られたから、個人的にはとっても有意義だったわね」


 他の皆もリルキュアさんの意見に同意するように頷いていた。

 ふうむ……。彼女の言うように無駄ではなかったのだから良しとするべきなのかな。


「とりあえず、一旦切り替えようか。『テイマーちゃん』、二回戦も基本的には同じ動きでいいのか?」

「えっと、そうですね。役割分担的には同じで大丈夫だと思います。ただ、他のチームも過剰積み込み(オーバーロード)対策として魔法には過敏になっていると思わるので、気を付けてくださいね」


 具体的には魔法の発動を潰そうと優先的に狙われる、といったことが考えられる。これを逆手にとって囮役になるなんてこともできなくはないだろうが、最悪の場合は三チームから集中攻撃を受けるなんてことも起こり得るので、状況を良く見極める必要がありそうだ。


 とかなんとか考えていたのだけれど、実際に二回戦が始まってみると、ある程度の接戦とはなったものの大苦戦するようなこともなく無事に勝利することができたのだった。


 対戦相手が三チームとも攻め込むことには消極的な守り主体のチームだったことが一番の要因だろうね。

 最終的には中央付近のマスの取り合いになるも、序盤から進出していたうちのチームが一歩秀でる形で時間切れになったのだった。

 そんな試合経過だったからか、成績自体は一回戦よりも低く二十九マス。とはいえどこも一回戦を勝利してきたチームということで、ある意味順当な結果ではないかと思う。


 他のチームはというと、ユーカリちゃんたち『コアラちゃんと楽しい仲間たち』を始めとした一回戦で十位以内となったチームも軒並み勝ち上がっていた。

 ……と思いきや、何と大方の予想を覆してあるチームが敗退しているという大波乱が発生!


 その圧倒的な大勝から優勝候補の筆頭とも目されていた『キングオブデビル』だ。


「うわー……。さすがに対戦している三チーム全てに対策を取られてしまうと厳しかったみたいですね」


 一度の攻撃で全滅しないように複数ユニットに分かれて行動していたり、魔法の予兆が見えた瞬間に先手で攻撃したりと、しっかりと研究されていたことが覗えた。


「こりゃあ、相手が悪かったな。こっちのチームのこいつと、そっちのチームにいる青髪で背の高い男、『ウォーシミュレーション』の幹部だぞ」

「残ったこちらのチームには『レギオンバトル研究会』の副ギルドマスターがいますよ」


 どちらもプレイヤー同士による大規模戦闘主催しているギルドで、マサカリさんたちが挙げた人物は、成り手がいなかった時には総大将役や各部隊のリーダー役などを務めている人たちなのだそうだ。


「つまり、集団戦闘や指揮を執るエキスパートってことか。そりゃ勝てない訳だ」


 対する『キングオブデビル』の人たちは完全に個人主義なのか、誰かが押し込まれてしまっていようとも救援に入るような事はなかった。

 まあ、魔法の効果範囲を考えると下手に手出しをすれば味方を誤爆してしまう可能性もあるから、致し方ない部分もあったのかもしれないけれど。


 そして、彼らが一回戦の時と同様の戦い方ができない理由が他にも存在していた。

 大規模強力魔法もオーバーロードマジックも大量のMPを消費する。つまり連発するためには何らかの手段でMPを回復させる必要があったのだ。


「残るメンバーの誰かがクリエイター系で、MPを回復するアイテムを大量に持ち込んでいたようね」


 それを湯水のように使うことでMPが枯渇するのを防いでいたみたい。実際、一回戦の時の動画では頻繁にアイテムを使っている様子が映し出されていた。

 それができなかったということは、材料を含めて持ち込んでいたアイテム全てを使い切ってしまったのか、それとも必要数を作り出すことができなかった、のどちらかということになりそうだ。


「どっちにしても、勝ち進むために必要なアイテムの数を見誤っていたということか」

「いえ、そうとも言い切れないかもしれません」

「え?そうなのか?」

「私には逆に、優勝するためにはどうやってもアイテムの数が足りないと見極めてしまったからこその行動だったのではないかと思えます」


 ミザリーさんが考えるその先にあるだろう彼らの狙いを、ボクたちは眉間にしわを寄せながら探っていく。


「あ、そうか!優勝することが目標じゃなかったのかも!?」


 そもそもボクたちだって頑張って勝ち上がっていくとは考えてはいても、なにが何でも優勝してやろうとまでは意気込んではいない。

 『キングオブデビル』だって一回戦での圧勝があったから優勝候補だと目されていたようだけど、本人たちがそう言っていた訳ではないのだ。


 ……うん?圧勝?


「もしかして、圧勝することこそが目的だったのかな?」

「やっぱり『テイマーちゃん』もそう思いますか」


 おおう!なんとかミザリーさんの予想に辿り着くことができたようだ。


「悪いが二人だけで分かり合っていないで、俺たちにもどういうことなのか教えてくれないか」


 マサカリさんの言葉に遥翔さんとヤマト君がぶんぶんと首を縦に振っている。

 リルキュアさんは苦笑しているからボクたちと同じ答えに行き着いていそうだ。


「要するにですね、勝ち進むことができないのであれば、一回戦で思いっきり目立ってやろうと考えたのではないか、ということです」

「もしも彼らの目的が自分たちの名前と顔を売ることであったとすれば、大規模強力魔法や過剰積み込み(オーバーロード)のことと合わせて、これ以上なく成功したということができると思います」


 もっとも、これについてもボクたちの勝手な予想なので、必要アイテム数を見誤っていた、という方が真相だという可能性もあるけれどね。


 ちなみに、ボクたちの対戦相手でオーバーロードマジックについて知っていたと思われるのは一つのチームだけだ。

 こちらが魔法を使おうとする――ボクの場合はふり(・・)でしかなかったけれど――と慌てた雰囲気になっていて、いかにも情報に翻弄されているという様子だった。


「知識って中途半端な状態だとかえってその身を縛る鎖になってしまうものなんだね……」


 図らずしも、里っちゃんが語っていた「未知なるものへの恐怖心」の強さを確認する形となってしまったよ。


二回戦はあっという間の終了でしたが、三回戦はちょっぴり長めになる予定です。

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