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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十六章 『銀河大戦』2 一日目午後

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197/933

197 一回戦開始

「間もなく一回戦が始まります。プレイヤーの皆様は準備をしてください」


 アウラロウラさんの声による放送を受けて、それぞれ配置に付くボクたち。見ると他のチームの人たちも開始の合図と共に走り出せるように準備を終えていた。

 だけどボクの正面、マップの右上にいる『ファイナルスマッシャーズ』がばらばらに立っているのに対して、対角線上となる左上の『ラグナロク(4)』の人たちは一塊となっている。


「(『ロゼッタさんの意志』の面々も一緒に動くつもりなのか、固まっていますね)」


 ミザリーさんがチャット内会話で教えてくれる。

 ボクたちと『ファイナル』が時間重視型、『ラグナロク』と『ロゼッタ』は安全重視型ということになるのかも。それなら少し攻撃的に動いてみますか。


「(遥翔さん、リルキュアさん。可能であれば『ファイナル』の近くを優先的に自陣地化してもらえますか。上手くいけば他のチームにも混乱を広げることができるかもしれないです)」


 二人からの「(了解)」が聞こえたところで「十秒前」のアナウンスが。

 さらにカウントダウンは続く。


「五秒前、……三、二、一、スタート!!」


 前方のマスへと踏み込んだ瞬間、中央にスイッチが浮かび上がってくる。それが見えた瞬間、少しだけ離れた場所を走るマサカリさんに向かって叫ぶ。


「スイッチです!そのまま走り続けて!」


 ボクたちのチーム内ではユニットを組んでいる者同士の連絡は肉声で行い、全体への指示や注意、ヘルプの要請などはチャット内会話で行うことにしたのだ。


「応よ!」


 マサカリさんの返事を背中で受けながらスイッチへと真っ直ぐに向かう。練習の成果が出たのか、ほとんど減速することなくスイッチを起動させて次のマスへ。

 その頃にはリルキュアさんは隣のマスへ、遥翔さんはに至っては二つ先のマスへと辿り着こうとしていた。

 一方、マップでいうと左側、横方向に進んでいたヤマト君とミザリーさんコンビは最初のマスのロボットを迎撃したところだった。なんだか二人とも、連携の精度が上がってない?


「うわお!ロボット!?」

「そいつは任せて、別のマスに行け!」

「はいな!」


 左へと急速旋回してリルキュアさんたちが通り抜けて行ったスイッチマスを自陣にポン!

 振り返ると豪快な掛け声に合わせてバトルアックスが振り下ろされて、近付いて来たロボットを弾き飛ばしていた。

 全長二メートル五十センチのずんぐりむっくりなロボットがふっ飛ばされるとか、何度見ても目を疑う光景ですこと。


 おっと、こうしちゃいられない。ボクも次へと進まないと。


 そうやって役割分担をしながら次々とマスを自陣地化していると、遠くから怒号やざわめきが聞こえてくる。

 マップを見ると中央近辺や少し『ファイナル』寄りのマスがボクたちの陣地の色である緑へと変化していた。

 どうやらどのチームもこんな序盤から攻めてくるとは思ってもいなかったようだ。遠目にも慌てふためいているのが分かる。


「マサカリさん!ボクたちも『ファイナル』の側へ侵入しましょう!」

「地元はどうするんだ!?」

「そっちは後回しで。今は追撃を掛けてパニックを継続させることが優先です!」


 別のチームの陣地になってしまったマスを取り返すのは、通常マスを自陣地化するよりも面倒な仕様になっている。

 狙いとしては『ファイナル』の矛先を『ラグナロク』側へと向けることで混乱を拡大させることとなる。が、例え取り返しに来たとしても時間稼ぎにはなるのでボクたちの不利にはならない。

 まだまだ試合が始まってから四分も経過していない。スタート地点近くのマスを確保するのは後からでも十分間に合うはずだ。


「(ボクたちで一旦『ファイナル』側の前線を押し上げます。遥翔さんとリルキュアさんは『ロゼッタ』との防衛線を構築してください。ミザリーさんとヤマト君はその後ろを補強してから合流、あちらのプレイヤーがやって来るようなら全員で迎撃してください)」

「(了解しました。でも、こちらに来ない時はどうしますか?)」

「(その時は予定通りに自陣地化を進めていってください)」

「(分かった、任せとけ!)」


 ロボットの攻撃をかい潜り、スイッチマスを走り抜けて『ファイナル』側へと押し入る。


「らっきー。スイッチマスだ!」


 と思ったのも束の間、


「なっ!?『テイマーちゃん』だと!?さ、させるか!」


 その向こうにいた『ファイナル』のチームメンバーに発見されてしまう。

 ボクの方が先にマスへと侵入していたものの、あちらの方が若干素早い。このままだとスイッチのある場所に到着するのは良くて同時、悪ければ僅差で負けてしまいそうだ。


「秘技!ポーション投擲(とうてき)!」

「うわあ!?」


 アイテムボックスらから『兜卵印の液状薬』を取り出して、相手プレイヤーの方へと投げつける。一時はエッ君やミルファのフォローに走り回っていたから、このくらいのことは走りながらでも楽勝なのですよ。

 もっとも、技能も何もない――もちろん秘技なんてものでもない――ので微妙に方向はズレてしまっていたけれど。

 それでも一番の目的である相手の足を止めさせることには成功していた。アイテムの分類的にはただの超低級ポーションだから当たったところで何の害にもならないのだけれど、いきなり投げつけたから驚かせることはできたという訳だ。


「うふふ。お先に失礼しますわ」

「あ!ずっけえ!?」


 謎のお嬢様口調で言い残してスイッチへと走る、走る!

 が、それでもまだ足りない!?


「こうなったら!必殺、ハルバードスタンプ!」


 再びアイテムボックスを開いて、今度はメイションで購入したばかりのハルバートを取り出す。そして柄の端ギリギリを持って、その側面の平たい方をスイッチへと叩き付ける!その瞬間、床の色が淡い緑へと変わった。


 よし!計画通り!

 思い付いたのはついさっきのことだけど。


「どわっはあ!?」


 いきなりの得物を使っての行動に、スイッチのすぐ近くまで来ていた相手プレイヤーはのけぞるようにして転んでしまった。

 ちょっと大袈裟じゃないかな、と思ったのはここだけの秘密です。


 さてと、この人が復活する前にさっさと次の行動を考えないと。

 ちらりと隣を見るとマサカリさんが無事にスイッチマスを押しているところだった。そして反対側はあらかじめリルキュアさんが自陣地化していたマスとなる。

 となれば転進あるのみかな。


「はっはっは。さらばだ、タケチ君」

「誰だよ、タケチ!?」


 おおう!?まさか適当な捨て台詞に突っ込みを入れられるとは思わなかった。このプレイヤーさん、なかなか律儀な人なのかもしれない。

 しかし、今は敵同士。情けをかけてはいられないのです。


「きゃー!マサカリさん助けてー!」

「おうおう!うちの『テイマーちゃん』をいじめようとするのはどこのどいつだ!?」

「マサカリってまじかよ!?そんなやつに勝てる訳あるか!」


 うっはあ……。さすがは有名戦闘職プレイヤーだけのことはあるね。

 あっという間に逃げて行ってしまったよ。


補足です。

〇各チームのスタート地点

 第一チーム……マップの右上(今回は『ファイナルスマッシャーズ』)

 第二チーム……マップの右下(今回は『テイマーちゃんと愉快な仲間たち』)

 第二チーム……マップの左上(今回は『ラグナロク(4)』)

 第二チーム……マップの左下(今回は『ロゼッタさんの意志』)


〇各チームの自陣地化した時の色

 第一チーム……青

 第二チーム……緑

 第三チーム……赤

 第四チーム……黄



それぞれのマップに表示されるのは、所属しているチームメンバーの位置と自陣地化しているマスだけとなります。


他のチームのメンバーの位置情報やどれだけのマスを陣地化しているかは表示されません。(他チームの陣地は初期状態と同じく灰色で表示)

しかし、床の色がそれそれ変化しているので目視では分かるようになっています。


また、ロボットマスなのかスイッチマスなのかも非表示です。

が、こちらも一度出現したロボットやスイッチは目視できるようになります。

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