エルフ、思い出す
「ふぁぁぁ、ねむい」
帝国やら神国やらなんだかやたらと名前がむずかしい国の人達が訪ねてきた翌日、私は欠伸をしながら起き上がり伸びをした。
「もう、面倒だから寝ようかな…… イーリンス辺りに任せてればなんとかなる気がするし」
『ぼくたちが』
『てきとうに』
『きめてもいいよ』
ノロノロとベッドから降りると精霊さん達が奇妙なポーズをとりながらアピールしてきた。
何のポーズなんだろ?
そんな精霊さん達をいまいち覚醒していない私はぼんやりと見ていた。
「ちなみになにするの」
『ぞっこく!』
『どれいせいど!』
『じゃくにくていしょく!』
うん、よくわからないけど最後以外はなんだかいい響きがしないよ。あと絶対に間違ってる気がする。
「めんどい」
だらだらとした動きでベッドから降りた私は仕方なしに動くことにする。
『いるぜ、まっぱはだめ』
『かぜひくよー』
『いーりんすにおこられる』
裸で部屋の外へ出ようとした私の前を精霊さん達が妨害するかのよう放り出していた服を抱えて飛び回ってきた。
「……服着るのも面倒なんですけど」
『『『きーるーのー!』』』
精霊さん達の思いもよらない気迫に押されて私は渋々と両手をあげます。
すると瞬く間に目の前の精霊さん達の姿が搔き消えると私の周りを飛び回り、あっという間に私に服を着せていきます。
ああ、なんで生きるのに裸じゃダメなんだろう?
『もうすこししゅうちしんをもつべき』
『おとしごろなんだから』
『ひゅーむでいえばばばあ?』
「最後のは聞き捨てならないよ?」
『もう、さんにんはおきてまってるからはやくきてねー』
私が軽く怒るときゃーきゃーと精霊さん達が楽しそうに声を上げながら部屋を飛び出していった。
そんな精霊さん達を見送った後に私は深いため息をつき、とぼとぼと廊下を歩く。
おかしいなぁ。私はぐーたら生活を送るはずだったのにどこで道を間違えたんだろう?
「話し合い面倒だなぁ」
放っておいてくれたらいいのに。
別に私は何かするつもりじゃないし、魔獣や人間、亜人を喜んで殺すような趣味もないし。
結界を潰したら魔獣による私への危険度も下がるし何が問題なんだろう? 精霊さん達も適当に魔獣狩ってくれてるわけだし。
「あ、そうだ」
そこで私は閃いた。
なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
いや、こんなことに気づくなんて私は天才かもしれない!
「帝国と神国をぶっ潰しちゃえばいいんじゃない? これなら今後なんの問題も発生しないよね!」
『朝からなにを物騒なことをぬかしとるんじゃお主は』
「きゅーきゅー!」
私が名案を思いついていると私の前から呆れた顔をしたソラウとその頭の上を陣取るフィズと遭遇した。
精霊って実体があるようでない存在のはずなんだけどフィズはどうやって頭の上に乗っているんだろう?
「だって私はだらけたいだけなんだからさ、いっそのこと邪魔をしてるのを消しちゃった方が早そうじゃない?」
『たわけ、そんな事したら余計ややこしいことになるわ』
「へぇ」
これは意外。
ソラウなら二つ返事で乗っかってくると思ってたのに。
『お主、前から思っておったが我の事を馬鹿にしすぎじゃろ!』
ソラウって相変わらず私の心の内を普通に読んでくるよね。
「だってソラウってあれでしょ?のう、のう……」
なんだったかなぁ。頭まで筋肉でできてる人の事。
あ、思い出した!
「脳筋!」
「きゅう!」
『意味はわからんが侮辱しとるということはわかるぞ⁉︎ 小粒も同意するでないわ!』
ギャァギャァと喚きあいながら私達は三人の待つ部屋へと向かったのだった。




