精霊、叫ぶ
とりあえず城までイーリンスに植物を操ってもらって移動した。
騎士団の皆さんはすでに死にそうな顔だったし普通に歩かせてたら魔獣に襲われて死にそうだしね。
ついでに魔王さんの剣を黒騎士さんへと変えて道中の安全も確保。
黒騎士は咆哮を上げて走り出すと森の中からは何かを叩き潰すような音がよく聞こえるようになった。
何が潰れているのかは考えないようにしよう。精神的にきっとよくない。
「黒騎士さん、やりすぎないようにー」
聞こえてないと思うけど一応言っておく。
私は一応声はかけた。声をかけたんだからこれから何が起こっても私に責任はない。
私が先立って歩くと見当違いの方向に行くのがわかっているから精霊さん達が『こっちこっち』と誘導してくれる。
失礼な話ですよね。いくら私でもあんな大きな城に辿り着けないわけないのに。
「こっちでしょ!」
『ちがう、はんたい』
『いるぜ、えるふなのにめがわるいの?』
『わざとやってる?』
……散々な言われようだったので静かにしてついて行くことにします。
城に向かって道中はあちこちに見たくなくても視界に入ってくるのは魔獣のような潰れた肉塊らしき物が転がっている。多分、黒騎士さんがやったんだろうなぁ。
まあ、今もまだ殺ってるんだろうけど。
ついでに黒騎士さんが潰してなかった魔獣は飛び出してくるなり精霊さん達が嬉々として魔法を放って殺ってた。
『ぼく! ぼくにいっぽいんと』
『つぎはわたしがやるんだから!』
辿々しい言葉でほのぼのしているような会話だけど内容は物騒だよね。
だって瞬殺だし。
城につくと騎士団の皆さんは植物から解放されて、代わって一部の精霊さん達が植物に拘束された。
『あなた達、調子に乗りすぎ』
『おーぼーだー』
『ぼくたちもあそびたい』
『きょうぐうのかいぜんをようきょうする』
ギャーギャーと喚いている精霊さん達だけどイーリンスは全く気にした様子はなく部屋の一つ、お仕置き部屋(精霊さん達命名)に入っていく。そのお仕置き部屋の扉がパタンと音を立てて閉まった瞬間、
『ギィヤァァァァァァァァァァ!』
『もうしませぇぇぇぇぇぇぇん!』
『や、やさいのこさないからぁぁぁぁぁぁぁ!』
すっごい精霊さん達の悲鳴が聞こえてきた。
その悲鳴の大きさに連行されていない精霊さん達も身体を震わせてるし、騎士団や皇帝さんもかなりビビってる。
「精霊さん達はとりあえず私が作ってたポーション持ってきてください」
『あいさー』
良い返事をして精霊さん達は部屋から姿を消した。
エルフ印のポーションなら死んでなければなんとかなるよね。
頭吹き飛ばされたり体が半分なかったりとどう見ても死んでるのは無理だけど。
「黒こげは放っておこう」
視界に入った黒い塊を見て私はそう判断した。
ソラウはきっと自身の身を守るために魔力を使い切った状態なだけだし、フィズは多分爆発の音とかでびっくりして気絶してるだけみたいだし。
精霊さん達がポーションを持ってきたら掛けておけば治るでしょ。
「それじゃ、さっさと話をしましょうか」
私が声をかけただけなのに皇帝さん、レオンさん、聖女さんの三人が身体を震わせて私を見てきた。
別に何もしないのに。
面倒な事はさっさと終わらせたいしね。




