エルフ、断られる
『裏切り者なんて言い方が悪いです!』
精霊と分かっていても鳥の口がいきなり流暢に動き、言葉を発するというのはなかなかに違和感がある。
精霊さん達は基本的に空飛ぶ小さな小人、言わば小さな人間のような容姿をしているから喋っていても違和感はさほど感じないんだけど鳥が喋るとなんか変な感じがする。
『私は単純にこのアリスの魔力に惹かれたです!』
うん、精霊さんは魔力の波長? みたいなやつで人の好き嫌いがあるらしいからね。嘘ではないような気がする。
まあ、私には魔力の波長なんてものは大雑把にしかわからないんだけどさ。
『いるぜのまりょくのほうがすごいよー』
『ほわほわだよー』
『ふわふわだよー』
なんか表現がお菓子みたいな感じですけど全く伝わってきません。
『アリスの魔力のほうがいいに決まってるじゃないです!』
小鳥の精霊、リリィとやらが全身から魔力を放出しながら威嚇するように声を荒げる。
放たれた魔力が私の髪を広げるように揺らし、周りの草木も僅かに震えた。
でもなんか、精霊樹の側にいる精霊さん達の自然に発している魔力より少ない気がする。
そんなことを考えながら眺めているとレオンさんの周りの人達の顔色が悪くなっていた。
口々に「これが光精霊様の本気!」とか「なんて圧なんだ」とか「なんか口調がいつもと違わないか?」などと口々に言ってるけどそんなに凄いかな?
ついでに口調が違うのは私にはわからない。
反対に精霊さん達の方はというと、全く動じていない精霊さん達が半数以上みたいで残りな半分はというと、
『やーらーれーたー』
『なんてつよさだー』
もう、なんか棒読みみたいなセリフを言って吹き飛ばされたようなフリをしていた。
なんかノリがいいなぁ、君たち。
『なんか、りりいよわくなってない?』
でもやっぱり精霊さん達にも個々の性格があるようで全く空気を読まない精霊さんもいるわけだ。
吹き飛ばされたフリをした精霊さん達に気付かずに満足気な表情を浮かべていたリリィが凄い表情で呟いた精霊を睨んでいた。
『あなた達みたいな小精霊に本気を出すわけないです!』
『ぷぷーいいわけだぁ』
『まけたときのいいわけだねー』
激昂するリリィを煽るように精霊さん達が笑い始める。
『だったら本気を見せて差し上げるです!』
アリスさんの肩から飛び上がったリリィが宙を舞う。
宙を飛んだリリィの軌跡に光の煌めきが一瞬にして極光へと変わり、それは地上に向かって降り注いできた。
「うっわ、こっちきた」
なんとなく嫌な予感がしていた私は周囲に自身の魔力を混ぜ込んだ翡翠色の風で壁を作り上げて迫る極光を遮断する。
極光が私の風と接触した瞬間、何かに阻害されるかのように私の風の制御が甘くなり、周りに暴風を吹き荒らした。
なにこれ? この光は妨害する効果でも付いてるの?
どうやら極光が降り注いでいるのは私のいる場所だけではないみたいでリリィのお仲間の方にも降り注いでた。
精霊さん達やオリハルコン像にも降り注いでいたけど、精霊さん達は笑いながら回避してる。
『むだむだむだぁ』
『あたらなければいみがなーい』
『へたくそ?』
うん、君達の心配は今後はしないよ。
リリィの方は怒って魔法を乱射してるけど当たる様子はないし。
そしてオリハルコン像に至っては直撃してもビクともしてない。
確実に当たっているんだけど全く関係ないと言わんばかりに弾いてる。
『あんた達なんなんです⁉︎ 大精霊様や高位精霊様ならまだしもなんでそんなに避けれるんです! あとあなたは絶対当たったのにピンピンしてるんです⁉︎』
『ざんぞうだー』
『なんですそれぇぇぇ!』
「リリィ、落ち着いて! こっちにも被害出てるから!」
アリスさんが懸命にリリィを宥めてるけどそれを上回る勢いで精霊さん達が煽るからリリィの怒りの炎が全く治らない。
「あれ、なんとかならないの?」
すでに剣を鞘へと戻したレオンさんを引き連れて皇帝さんがやってきた。
ニコニコしてるなぁ。
「え、めんどうですし」
「君って精霊を従えてるんじゃないの?」
瞳を輝かせながら私を見てきます。
別に精霊さん達を従えた記憶なんてないんですけど。
「精霊さん達はどちらかというと友達ですよ」
『ともだちー』
『ふれんどふれんど』
『ふれんどしんせいきょひー』
断られました⁉︎




