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エルフ、落ちる

 

「ひぃ⁉︎ 落ちる!」

『今までもフィズに乗って空を飛んだ事はあったじゃろうが』


 フィズの前足に掴まれ、悲鳴を上げ続ける私を見て、隣を飛ぶソラウが呆れたような表情を作って呟いた。

 かなりのスピードだからめちゃくちゃ怖い!

 周りには精霊さん達が楽しげに飛び回りながら付いてきていた。

 ちなみにひたすら寝ているフェルコーネとログハウスから余り離れられないイーリンスはお城でお留守番だ。

 あの二人がいる限り城が落ちるとか想像すらできない。


「死ぬ! これは死ねる!」

『いや、大袈裟じゃろ』


 そんなこと言ってもね!

  確かにフィズに乗って空を飛んでたこともあったよ! でもそれはフィズの背中に乗って飛んでいたのであって肩を掴まれて飛んでいるわけじゃないんだよぉ!


『ならお主の自前の魔力で飛べばいいんじゃないのか?』

「私に死ねと⁉︎」


 一時的に空を飛ぶみたいな事は魔力に物を言わせたらできる気がする。でもあくまでも一時的にの話。

 空を飛んで移動するなんて事をしたらいくら精霊樹の力で魔力が増えている私でも一瞬で魔力が枯渇する。

 飛んでる最中に魔力切れに陥ったりなんかしたらなんの守りもないまま落下して死ぬ未来しか見えないよ!


「きゅう!」

『目標を見つけたみたいじゃな』


 短く鳴いたフィズに遅れてソラウも発見したらしい。私もそれからかなり遅れていつ落ちるかわからない恐怖に晒されながらも爆炎やら竜巻やらが発生している場所を目視した。

 ついでに私のエルフの耳には悲鳴も入ってきているわけなんだけど。


 行きたくないよぉ!


「きゅい」

『なら我がイルゼを持っといてやろう』


 なんか勝手に私が移動させられることが決まってる⁉︎

 今、結構な速さで移動してるよ⁉︎ せめて止まってからやらないかな⁉︎


『ちゃんとタイミングを合わせるんじゃぞ?』

「きゅ」


 フィズの短い返事が耳に入ると同時に支えが無くなったかのような浮遊感が体を包み込む。

 それは当たり前、フィズが私を掴んでいた前足を離したのだから。


「わぁぁぁぁぁぁぁ!」


 急に聞こえるようになった風の音に私は絶叫を上げる。

 おかしくない⁉︎ なんかソラウが私を掴むみたいな話だったよね⁉︎


『これ、小粒! タイミングを合わせろと言ったじゃろ! どう見ても離すタイミングが早すぎじゃ!』

「きゅい! きゅい!」


 上空で言い合いをするかのように喧嘩をし始めたフィズとソラウの姿が徐々に小さくなっていく。


 あいつら絶対お仕置きしてやるんだからぁぁぁぁぁ!


 落下していきながらそう決意した私は全力で風の魔法を纏うようにしながら落下の衝撃に備えたのだった。

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