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子竜、抗議する

 時は少し遡る。


 魔鏡で見ていると精霊さん達、いや、カラミティが攻め始めた。

 そりゃあれだけ腕があってそれぞれに武器を持ってれば適当に振ってても強いと思うよ。

 剣とかの心得とかない私だけど間合いとかが重要なのはわかる。あの腕、伸びるから間合いとか無視するんだもの。卑怯でしかないよね?


『ふむ、もう終わりかのう』

『聖剣の力を全く引き出せていませんから仕方ありません』

「そうなの?」


 私から見ればレオンさんの動きも見えないんだけど……


『聖剣の力をフルに使えとったらあんな無駄に魔力は消費せんさ』

『魔力で無理やり聖剣の力を引き出していると言った感じね』


 そんなものなのか。全くわからないけど。


「ところでさ、あの状態の精霊さん達とソラウやイーリンスならどっちが強いの?」


 なんとなく、本当になんとなくの気紛れで思いついた疑問を精霊の二人に投げかけた。


『我じゃ』

『わたしですね』


 即答でした。


『あんな物はただ硬いだけじゃ。考えてみよ。伝説の鉱物、オリハルコンは砕けたりせんと言われておるが現物があまり残っておらんじゃろう?』

「そう言われるとそうだね」


 確かに本でオリハルコンは最硬度の鉱物と書かれていた。それなら数が少ないと言えなんらかの形として残ってないとおかしいよね。


『ソラウ様のいう通りです。オリハルコンは所詮は硬いだけの鉱物です。ですがそれで作られた物が最強というわけではありません。まして小精霊が作り出したオリハルコンでは、わたしやソラウの攻撃は耐えきれないわ』


 そんなに差があるのか。小精霊と中位、上位、大精霊との差は。


「でもフィズは勝てないでしょ?」

「きゅ?」


 私の足元で寝ていたフィズが、私の声に反応して瞳を開けると私を見上げて可愛らしく首を傾げてきた。


「フィズはあれには勝てないよね?」


 だってこんなに小さな竜なんだもん。

 あんな硬いオリハルコンの像なんて潰せないはずだよ。


「きゅいきゅい!」


 フィズは私が指差した魔鏡に映るオリハルコン像を見ると小さな翼を広げて抗議するように声を上げてきた。


「え、あれくらい楽勝?」

「きゅい!」


 自信ありげにフィズは頷いた。

 ほ、本当かな?

 でもオリハルコンだよ? 硬いんだよ?


『ねえ、ソラウ様。イルゼってもしかしてフィズがエンシェントドラゴンって事に気付いてないんですか?』

『うむ、どうやらただの子竜だと思っとるんじゃよ。雷を操る竜などエンシェントドラゴンしかおらぬと言うのにな。面白いから黙っておる』


 なんか後ろで二人がひそひそと話してる気がするけど魔法を使ってるのか全然聞こえない。


「きゅう! きゅきゅう!」


 その間にもフィズは準備運動をするかのように翼を動かしていた。

 な、何する気?


「きゅうきゅう! きゅきゅう!」

『証拠を見せると言っておるのう』


 証拠? 本当に何する気なの?


「きゅぅぅぅぅぅ!」


 フィズの小さな口から想像できない程に大きな咆哮が上がる。

 その大きさに思わず私は耳を塞いだ。周りを飛び交う精霊さん達も悲鳴を上げて耳を押さえてた。


「な、なに⁉︎ ギャァァァァァァァァ⁉︎ 高ぁぁぁぁぁい⁉︎」


 しばらくの間、咆哮が続き収まった頃にはいつの間に捕まれたのか私の体は空の上だった。

 そうしてフィズは爆発が巻き起こる方へと翼を羽ばたかせながら悲鳴を上げる私を無視して飛んでいくのだった。

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