子竜、飲む
「私が喚び出したのはログハウスだよ?」
『わたしとセットなんだからわたしも契約に含まれるのよ!』
それはいいんだよ。
契約が今更増えたところで精霊樹の側にいる限り私の魔力は増え続けているわけだし。
離れた時が怖い気もするけどね。
フィズにソラウ、イーリンスにひたすら魔力供給してたら自然に回復する魔力量では私の魔力がすぐに底をつきそう。
いや、それよりももう一つの方だよ。
「だんじょんますたーって何か知らないけどなった覚えがないんだけど」
『ダンジョンコアを持ってるでしょ? それか何処かに隠してるはずよ』
何、だんじょんこあって……
知らない言葉ばっかり出てくるよ。
まったく身に覚えがないんですけど。
『あなた何か変わった能力に目覚めたりしてない? 例えば物を作れるようになったり』
「そんな便利な能力があったならとっくにベッドをだしてるわ」
そんな能力があればそもそも街に行こうなんて話にならないはずだしね。
『なら、私も詳しくは知らないけど周りがよくわかるようになったりしてない? どこに何があるかがわかるとか』
「むむ」
それは少し心当たりがある。
頭に浮かんでくる何がどこにあるかわかる地図だ。
あんなのは魔法でも聞いたことがないしね。
ベッドから落とされ続けた衝撃で何らかの能力に目覚めたのかと思ったけどだんじょんこあ、とやらの力だったのか。
「でも私、だんじょんこあ、なんて持ってないよ?」
そんなホイホイと簡単になれるものなんだろうか?
『あの泉の底から魔力の塊みたいなのを感じるけど?』
イーリンスが指差すのはログハウスのすぐ側にある泉だった。
よく私が水浴びに使ったり精霊さん達の遊び場になってる場所なわけだけど。
特に何かあるように見えない。
というか私はエルフの中でも魔力を感知する力があんまり高くないんだよね。魔法とか体から吹き出したりしてる魔力なら何となくわかるんだけど自然に流れてるものは気付かないことが多いし。
「フィズ、わかる?」
「きゅ?」
私が逃げないように掴んでいた尻尾を手放したせいか、自由になったフィズはいつの間にか足元で昼寝をしようとしていたみたいだけど話しかけた。
ちょっと迷惑そうな顔をしたフィズだったけど泉の方へとよちよちと歩いていくと泉へと顔を突っ込み、泉の中の様子を見てくれているみたいだ。
そんなフィズを見守ること一分が経ち、二分が経ち、そして五分位が経過した時にようやくフィズは水から顔を上げ、
「けぷぅ」
小さくゲップをした。
様子を見てたんじゃなくて水を飲んでたの⁉︎
地面に転がったフィズのお腹はまるで玉のように丸くなっていた。




