エルフ、叩かれる
「セットで召喚?」
『そうよ』
それはお得なのでは? 響き的に。でも言ったら怒られそうだから黙っとこう。
いや、よく考えてみたらランダム召喚でログハウスを召喚した時に初めは吸われる魔力は少しだったの途中で一気に吸われた記憶がある。
もしかしたら初めに吸われていた少量の魔力がログハウスの分で残りの一気に吸われた分の魔力がイーリンスの召喚に使われた分なのでは?
それならあの魔力の急激な減りも納得できる。
「やっぱりお得」
納得した私は親指を立ててイーリンスにいい笑顔を向けていた事でしょう。
『あなたが喚び出したせいでわたしは大変なのよ!』
瞬きをする間もなく近寄ってきたイーリンスに私は頭を叩かれた。
スパーンといい音がしたので叩かれた頭をさすりながらイーリンスの手元を見ると紙を折りたたんだような物を手にしてた。
「それなんです? 叩かれたけどあんまり痛くないみたいだけど」
『謝る前にそれ⁉︎ ……これは昔、契約してた召喚士から貰ったものよ。ハリセンとかいうらしいわ。これなら全力で叩いてもさしてダメージも受けないという手加減専用武器らしいわ』
「ほほう」
派手なのは音だけというわけね。
でもそれなりに痛かったんだけど……
『でもそんなことは関係ないわ!』
ハリセンの切っ先っていいのか分からないけどとりあえず先を私に向けて仕切り直すように叫ぶ。
『問題なのはあなたの召喚のせいでわたしがあのログハウスに縛られているという事実よ!』
「縛られてる?」
『てる?』
『てるてる?』
『てるてるぼうず?』
「今は晴れなので必要ありません」
精霊さん達が謎の伝言ゲームが始まりそうだったので開始される前に止めておきます。
『わたしの力は樹、というか植物を司る物よ。植物を成長させたりする力よ。そしてこのログハウスは休憩用にわたしが作ったのよ』
あ、このログハウスはイーリンスが作ったんだ。
しかし、休憩用に家を建てるなんて暇なのかな?
それにしても植物の精霊とは。つまりは木で出来たベッドの足を短くして傾けるなんて簡単ということね。
精霊のくせにセコい嫌がらせね。
『今、失礼な事を考えたかしら?』
鋭い。
精霊はみんな思考が読めるの? 今度ソラウで実験しよう
「キノセイデス。で縛られているとはどういう意味?」
『言葉通りよ』
私の完璧なる素知らぬ顔に騙されたのかイーリンスはため息を一つつく。
『ログハウスで休んでいた所を召喚されたせいでわたしとこのログハウスは二つで一つの扱いになってるのよ』
「つまり?」
『ログハウスが潰れるとわたしも痛いわ』
目の前のログハウスが巨大な心臓みたいな扱いなわけね。




