エルフ、武具精霊を呼び出す
ぶん投げた剣は魔王とやらから貰った剣らしい。
それは非常に好都合だね。
私が放り投げた剣は回転しながらサロメディスさんへと向かい飛んでいく。
その剣を受け止めるためかサロメディスさんは両手に持っていた骨の剣を放り投げ、飛んでくる剣を掴もうとしたのか手を伸ばしてきた。
「武具召喚」
剣が私とサロメディスさんの丁度真ん中あたりに飛んだ時、私は呟いた。
すると飛んでいた剣、恐らくは魔剣だった物から黒い光が放たれた。
「なっ⁉︎」
剣に手を伸ばしていたサロメディスさんは突然光り出した魔剣に驚き、光を遮り目を庇うように手をかざしてた。
そうしている間にも魔剣からは黒い光が放たれ続ける。そして同時に精霊樹に近づき回復していたはずの私も魔力が恐ろしいほどの勢いで魔剣に吸われていることがよくわかった。
「これ、やばぃ」
当たりだけど今召喚するようなものじゃなかったかもしれない。
魔力が吸われる量の方が回復する量を遥かに超えてるものだからすでに体に力も入らない。
木にもたれて立とうとするけどそれすら危うい。
たまらず木に座り込み、力を振り絞って召喚の結果を見るべく前を眺める。
宙に浮かぶ魔剣から放たれる輝きは魔剣の全体に纏わりつくように集まっていた。
そして徐々にその輝きは形を作り、それは姿を現し、地面に重苦しい音を立てて着地した。
「な、なにあれ」
輝きがなくなった事で直視できるようになったらしいサロメディスさんは地面に膝をつき頭を垂れるそれを見て呟いてるけど魔力切れの私はそれどころじゃない。魔力は徐々に回復しているわけだけどそれでも辛い。
動くのもめんどくさい。
「しかし、まぁ、召喚できたしオッケーだね」
木にもたれかかり覗き込むようにして落下した物へと視線を向ける。
その視線の先には背中に巨大な剣らしき物を背負い、膝をついている漆黒の鎧が鎮座していた。
私が行ったのは武具といった物から召喚を行う武具召喚。
これは契約召喚やランダム召喚と言った別の場所から喚び出すものではなく、その場にある物から召喚する魔法だ。
ただ、大まかな方向性は決まっているわけだけど、どんな精霊が喚び出される、または作られるかは召喚に用いられたその武具次第。
そして喚び出されるのはその武具に宿り、生まれた新たな精霊、もしくは人工的に作られたものなわけ。
剣から喚び出したなら戦う者を、盾から喚び出したなら守る者をという風にだ。
そしてその武具が長く使われているほどに強力な武具精霊が喚び出される。
今回はサロメディスさんの剣が魔王の剣だっていうから喚び出してみたわけなんだけど……
うーん、魔王とやらはあの剣で一体なにをしたんだろ?
普通、剣から召喚できるのは小さな騎士みたいで強そうに見えないのが召喚されることが多いんだけど。
あの漆黒の鎧、黒騎士は明らかに私との繋がりで感じる限り普通じゃない。
大精霊とまではいかなくてもかなりの力を持ってる。
そんな力を持ったのを召喚できるなんて私って幸運よね!
それに出てきたならば有効活用しないと。
「やっちゃって黒騎士、あ、殺しちゃダメだよ」
私がサロメディスさんを指差し指示を出すと漆黒の鎧は音を鳴らしながら立ち上がり、
「Vaaaaaaaaaaaaaaa!」
周りの木々を軋ませるほどの魔力の込められた衝撃波と共に咆哮を森へと響かせ、背中の巨大な剣を引き抜き構え、サロメディスさんへとその鈍重な見た目を裏切るように軽やかに迫り、巨大な剣を振りかざしながら襲いかかったところまで見た私は放たれた魔力と衝撃波に当てられ、視界が暗転した。




