エルフ、作り上げる
『よりにもよって暑苦しい奴が……』
姿を現した炎を纏う精霊を見てソラウが嫌そうな顔をしてる。ソラウの知り合い? ってことは大精霊かな?
燃えてるし、炎の大精霊なのかな?
『おお? そこにいるのは俺の永遠のライバルのソラウか? ついに俺との戦いに終止符を打つべく精霊界に喧嘩を売ったのか!』
『アホか! ザインガルド。お主なんぞどうでもよいわ。それに精霊界と人間界を繋いだのはこいつじゃ』
『なんだつまらないな』
ザインガルドとか呼ばれた大精霊がなんかがっかりしてる。でもなんか私を見てくる目はキラキラしてるんだよね。まるで「戦ってくれるの⁉︎」と言わんばかりに。身体に纏う炎がまるで感情を表すように一気に燃え上がってる。
こいつも戦闘狂か。
めんどそうだなぁ。
『よし、そこの喧嘩売ったエルフ? 俺と殴り合おう!』
「消し飛ばしていい?」
何で見るからに近接戦闘が得意そうな奴と殴り合わないといけないんだよ。そんなことするなら全力でやるよ? 一方的にやるよ?
『ザインガルド、本気で消し飛ばされるからやめよ』
『見損なったぞソラウ! 俺のライバルのくせに腑抜けやがったって!』
ソラウが止めてくれたけどなんかやる気だ。
うん、やっぱりめんどくさい系だ!
『はぁ、イルゼ』
「なに?」
ソラウがすごくめんどくさそうな声で私を呼ぶ。いや、明らかに私も面倒ごとに巻き込まれてるよね?
『ちょっと締めて黙らせてやってくれ』
「それ丸投げだよね?」
面倒そうな声とは真逆にめっちゃいい笑顔で親指立てながら言ってきたよ。確実に自分が面倒だから言ってきたよね。
『なんだ? 戦ってくれるのか⁉︎ ならやろ……』
大精霊? ザインガルド?だったかな? そんな名前もまだしっかりと覚えていない彼? に向けて掌を向け、やる気に満ちて話している途中の顔面に魔力弾を叩き込む。一瞬で頭が吹き飛んだからおしゃべりが、更には動きが止まる。そんな大きな隙を見せているので遠慮なく腕、足、腹へと立て続けて魔力弾をぶちこんでいく。
一瞬にして頭と腕と足が無くなって穴だらけの胴体だけの元大精霊を作り上げた。
「これでいい?」
『……やりすぎじゃ』
『ひくわー』
『びびるわー』
ソラウの要望通りにしゃべれない状態にしたというのにソラウは不満顔だ。
『……ザインガルドが弱くなったのか? 反応すら出来とらんかったではないか。それともこのエルフがまたおかしいレベルが上がったのか』
要望通りにしたというのに酷い言われようだ。
何? 消し飛ばした方が良かった?
「今から消し飛ばしとく?」
なんとなくだけど魔力の集め方が理解できたからソラウに見せつけるように掌に魔力球を作ってみる。さっき城にぶつけたやつよりはかなり小さいけど圧縮率を上げてるから同じくらいの威力はでるはず。感覚的に今のあの身体だけの大精霊なら消し飛ばせるという確信がある。
『やめい!』
やれって言った本人が慌てて私の手に飛びついてきた。
『こんなもんを炸裂させたらやばいじゃろうが! 空間をこじ開ける様な魔法じゃぞ⁉︎』
「精霊は死なないんでしょ?」
『死なんでも弱体化はするんじゃ!』
ああ、めんどくさいなぁ。




