エルフ、楽しみにする
シャオの手を離れた魔力は一気に加速して落下する城に向かって直進する。
あの魔力、小さいけどかなりの魔力が込められてるからそう簡単に吸収しきれないはずだよね?
私が予想した通り飛んでいく魔力は全く減衰する様子は無く、そのまま城へとぶつかり、触れた場所だけを破壊してあっさりと貫通した。
『『「「え?」」』』
精霊さん達も魔力を投じたシャオも驚いてた。いや、そりゃそうなるよね?
だって魔力量だけで考えたらとんでもない量らしいし。さっきのソラウが放った魔法で小さな国が一個滅びるくらいの威力なのにそれよりも強い魔力なのに破壊が全くない。
「あー、圧縮しすぎたし小さすぎたかな。普通なら拡散するはずのが一直線に抜けちゃった」
『あの魔力吸収を貫通するとかおかしいじゃろ……』
『だーくえるふおかしい』
『やっぱりえるふおかしい』
つまり固めすぎたってことだよね?
次はその辺を調整すればあの城潰せるんじゃないの?
「じゃ、もう一回……」
「無理、さっきのでもう魔力空だし」
なんて効率の悪い魔法⁉︎
でもあの威力なら大きくしてれば大体のやつは潰せそうだ。
精霊樹剣を使えばあれくらいはでき……
あ、壊れたんだった。いや、でもさっきのシャオのやり方を真似したら……
「ソラウ、精霊さん」
『なんじゃ?』
『なーに?』
声をかけるとソラウも精霊さんもすぐに返事をしてくれた。
私は寝てるフィズを掴んでソラウへと向かって放り投げる。
フィズは驚いた声を上げたけどソラウにあっさりとキャッチされた。
「ちょっと時間稼ぎしてくれない? フィズも使っていいからさ」
『じかんかせぎ?』
『……何する気じゃ?』
ソラウ、なんで嫌そうな顔をするのさ。
しかもすごく疑ってるよね?
「多分、私の魔法で何とかできると思う」
『それは助かるんじゃが、本気で言っとる?』
「多分だよ。出来ないって感じはしない」
今から私がやろうとしている事を頭で考えてもなんだか失敗するイメージが浮かばない。だから多分うまくいく。
問題なのは時間と私の魔法が放たれた後の事。
こればかりは私ではどうしようもないし。
でもなんとなく楽しくなりそうな予感がする。
「だからまあ、とりあえずやってみようかな」
働くのは嫌だけど一応は地上の危機なわけだし? でも今の私はただ、今までで一番の全力を出すというのがとんでもなく楽しみなんだよね。




