魔王、投げつける
「神呪とやらは最終手段として、どうするかなぁ」
城へと戻ってきた私はヘルムダートが壊れたので庭に新しくアンとトロワが準備してくれた椅子に座りながら落下を続けている城を見上げながら考えた。
落ちてくる速度はかなりゆっくりだ。それに城自体がかなり大きいから比較する物がない空だから余計にゆっくりと落ちてきてるように見える。
「アンとトロワは逃げないの?」
後ろで控える二人に振り返りながら尋ねた。
「イルゼ様、逃げたところでどうにもなりません」
「むしろここが一番安全的な?」
確かに。
迎撃できる可能性があるのは精霊さん達がたくさんいるここだろうし。
でもなぁ、魔法を吸収する城だからなぁ。迎撃手段が空だからこそ遠距離で、しかも魔法で攻撃する他ないわけだから効率が悪すぎる。
「大変そうだね」
『あ、まおーだ』
『ひまじんだ!』
どうしようかと考え込んでると魔王ことシャオが楽しげな感じで現れた。
ファルゼと殴り合ってたはずなのに全くの無傷。やっぱり強いんだろうなぁ。絶対に戦いたくないよ。
「城が落ちてきてるんだよ」
『なんとかしないと』
『ちじょうはんかい』
『よはまさにせいきまつに』
「大変そう?」
なんで首を傾げながら疑問系なのよ。
どう考えても大変でしょう?
地上半壊だよ? せいきまつはわからないけど。
「僕もやっていい?」
「いいけど?」
周りの精霊さんが必死というか嬉々としてとんでもない威力の魔法を繰り出してるのを見て興味を持ったらしいシャオが自分もやると言い出した。まあ、可能性が少しでもあるならやってもらって損はないよね。
「全開で一発限りのいくよ」
シャオが片手を天に掲げるようにすると掌にドス黒い拳大の球体が現れた。
なんか空気がヒリヒリする?
『あれもやばいのぅ。エンシェントエルフもおかしいがやはりダークエルフもおかしい。いや、ダークエルフは他の種族が過去に混ざるからこそできるわけじゃし…… うーむ、やっぱりエルフ種は基本的におかしいのか?』
「あのソラウ様」
「トロワ達は普通のエルフだし? おかしいのはイルゼ様達だし?」
『お主達もはなんか力を隠しとったりせんのか?』
「「ないです(し)!」」
なんだかエルフへのっていうか私への風評被害が酷い。私は何もしてないのに……
『しかし、あの魔力もやばいのう。明らかに我のさっきの魔法より凄いぞ』
「そんなに?」
『……なんでお主はそんだけの魔力を持っていてあの魔力の凄さがわからんのじゃ?』
いや、見ただけでどれくらい凄いかなんてわからないよね?
なんとなくヤバいと言う事はわかる。頭の中に警告音が鳴ってるし。でもわかるのはそれくらいであの魔法がどんな効果を引き起こすかなんてわからないよ。
『いるぜまりょくがおおすぎてぎゃくにわからないんじゃないの?』
『魔力が多すぎるからこそ自分より下の場合は気づきにくいと? なるほど、ありえる話じゃ』
また酷い言われようだなぁ。
まあ、もう慣れたよ。
そんな話をしている間にもシャオの掌の魔力は大きさが変わらないままに魔力だけが注ぎ込まれてるのかヤバい感じがどんどん大きくなってた。
「これで全部入れたけどどうなるかなっと!」
そしてシャオはボールを軽く投げるような仕草で魔力を落下を続ける城に向けて投げつけたのだった。




