エルフ、戻る
「よし、無事に着地完了」
もうもうと立ちこめる砂埃を風でふきとばし、落下した衝撃で大地に作り上げた巨大な大穴から私は服の埃を払いながら脱出する。
多少体のあちこちが痛かったりするけど異常はない。想定の範囲内だよね。ぶつかった衝撃も思ったより弱かったし。
『ぶじじゃないのがいるよね?』
『いくらだいせいれいでもこのあつかいは……』
『ぼくらならはっきょうもの』
いつの間にか集まったらしい精霊さんが落下地点の大穴を見て顔を蒼くしていた。
落下地点の大穴の中心部にはボロボロになったフィオニキスの姿があった。
手足が向いちゃダメな方に向いてるし、顔を隠していた仮面も割れて綺麗な顔が見えるようになってるけど舌を出した状態で白目を剥いてるから美少女なのに残念感が半端ない。
でも流石は大精霊。かなりの勢いで落下したはずなのに精霊界に送還されてない。
そして少し離れたところに気を失った様子のフィズの姿もあった。空高く飛ばされた後にここに落下したみたい。こっちも落下の衝撃でデカいクレーターみたいなのができてるみたいだけどフィズ自体は気を失ってるだけみたいだ。丈夫だね。
「落下してくる速度はゆっくりみたいだね」
フィオニキスから視線を外して空を見上げる。
見上げた先には遥か彼方にゆっくりと落下し続けてる浮遊城の姿があった。
私達の落下の方が早かったということはかなり落下速度はかなり遅い。理由はわからないけどこれなら何らかの対策を立てる時間がある。
「じゃ、城に戻って対策考えよう」
私の武器も無くなったし、本当は寝たいところなんだけど頭上からあんな物が落ちてこようとしている中寝れるほど私の神経は図太くない、はず!
いや、ベッドに入ったら寝るかもしれないな。
『えふぃおにきすさまは?』
『まさかのほうち?』
『ひとでなしいやえるふでなし?』
「森の中だから魔力も大量にあるからなんとかなるよね?」
なんなのよ、エルフでなしって。
さっきは空の上で全く魔力が無かったから、そしてフィオニキスも自身の魔力と予備魔力が無くなっていたからこそ何もできなかったに過ぎないわけだしね。
ここ、アヴェイロンの森なら精霊樹から供給されている過剰なまでの魔力が空気中に満たされてるわけだから精霊さん達には動きやすい環境なわけだから死にかけでも大精霊なわけだし放っておいても回復するだろうし。
「精霊さん達も武器とかどうせ作ってるんでしょ? 今なら大体の物は使っていいからあの落ちてくるのをさっさと潰して欲しいんだけど?」
『はいげんちとりましたー』
『よしやばいのからじゅんばんにいこう』
『やるぞー』
私が許可を出した瞬間にさっきまでのフィオニキスの態度に人でなし扱いをしていた精霊さん達はフィオニキスって何? と言わんばかりに喜び勇んで飛び出して行った。
私の周りにも多少の精霊さん達が残ってるけどそわそわしてる精霊さんがかなり多い。
「じゃ、私達も城に戻ろうか」
気を失ったままのフィズを抱き上げて私は歩き始める。あの落下物を潰すための戦力はいっぱいあったほうがいいもんね。
『いるぜそっちちがう』
『なんでしろみえるのにはんたいにむかってあるくの』
『ほうこうおんちすぎる』
周りの精霊さん達に歩く方向を修正された。どうやら残った精霊さん達は私が迷子にならないように残ってくれたらしい。
私、方向音痴じゃないよ?
『だからしぜんにからだのむきをかえない』
『ひもでくくってひっぱる?』
……すいませんでした!




