エルフ、拒否られる
「よし、勝った!」
『じ、実の妹に容赦なさすぎる!』
頭と体がさようならしたファルゼを見下ろしながら勝利の一杯(お腹の穴を塞ぐための秘薬)を煽りながら私は満面の笑みを浮かべていた。
なんかまだフィオニキスがいて腰が抜けてるみたいな感じだけど、こちらに何かしてくるといった様子は見られないか無視しておこう。
「頭と体をさようならにしたからすぐには動けないはずだよね」
『ねえ、エンシェントエルフって首切っても死なないの? それってエンシェントエルフの常識なの? というか生き物なの?』
「少なくとも私なら死ぬ」
でもファルゼならどうだろう?
下手したら心臓を破壊しても生きてる気がする。
現に今のファルゼは確かに死んでるんだけど首と身体になんか魔力の糸みたいなのが見える。所謂、仮死状態ってやつなのかな?その魔力が動き出したら首がくっ付いたりするんじゃないかなって思ってる。
とりあえず、頭を蹴って体から離しとこう。
『あ、悪魔か!』
「で、まだやる?」
ファルゼの扱いに対して何か意義があるらしいフィオニキスへと私は向き直る。
さっきの結界を作って風の刃を乱射する魔法は意外と使い勝手が良かった。
次使えば触れた瞬間に結界を作るのと結界内に風の刃を乱射させるというのを一瞬でできる気がする。
そうなると私、一撃必殺を手に入れたようなものだよね!
多分、ソラウにもいや、大精霊全体にも通じる気がする。
『やるわけないじゃん! 闇の宝玉の魔力も尽きたし、供給する魔導具も壊れた。今回の世界の混乱はここま……』
フィオニキスの諦めたような声音を出す。よく見ればフィオニキスの指にあった漆黒の指輪が空気に溶けるように消えていった。あれ確か凄い魔力が入ってたはずじゃなかったっけ? そしてそんなフィオニキスの言葉を遮るように城が音を立てながら大きく揺れた。
あ、これ城が壊れそうだよね?
穴の空いた壁の外を見るとゆっくりと、いや、速度を上げながら落下してるみたいだ。
「どうなってるの⁉︎」
『いや、膨大な魔力を供給され続けることができていたこの城がいきなり供給源わ絶たれたら浮かび続けるなんて無理に決まってるじゃん?』
「いや、当たり前だけどこのまま落ちたら大変じゃん!」
『まあ、多分大陸くらいは消し飛ぶんじゃないかな? 消し飛ばなくても落下の衝撃で舞い上がる粉塵のせいで千年位は太陽の光も届かない凍土の世界になるんじゃないかな?』
「凄くやばいのに発言が軽い!」
『どうしようもないし?』
なんか自暴自棄になってないフィオニキスさん?
なんか大精霊って自分の思い通りにならなかったら不貞腐れるよね。
いや、そんなことよりいきなり世界の危機だよ!
「じゃあ、私が魔力を注ぎ込んだらいいんじゃ!」
『それは無理だね』
私がいいアイディアだと思って提案したものをフィオニキスはバカにしたような笑みを浮かべながら即座に切り捨てた。え、微塵も迷わずに拒否られたよ。
「なんで!」
『魔力は確かに足りるかもしれないけど、さっきも言ったけど魔力を城に巡らせるための魔導具が壊れてるから無理』
「いや、そんな大事なものならもっと厳重に守っときなよ!」
『守ってたさ! だけどどっかのエルフの姉妹や大精霊が魔力の加減を知らずに周囲をぶっ壊しまくってたからだよ!』
私達のせいでした!




