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エルフ、傾ける

 

 ファルゼに殴られながら身体に纏わせてる魔力を途切れさせないようにしながら更に考える。

 ファルゼの拳は精霊樹剣と同じくらい硬い。でもさっきから見てたら精霊樹剣の攻撃を捌いているのは拳だけなんだよ。他の部分に当たりそうな時は確実に避けてる。

 それもかなり大袈裟に見えるくらいに大きな動きで。

 これって精霊樹剣を防げるのはファルゼの拳だけと判断してもいいんだろうか?

 うーん、どうすれば確実に当てられる?

 私が攻撃したらファルゼは確実にいなす、避けるをやってくるわけだし。

 ……待てよ? あるじゃない。

 確実にファルゼへ攻撃を当てる方法。

 でもこれ。痛いよね? 当たりどころ悪かったら私死ぬかもしれないよね?

 いや、秘薬があるから即死さえしなければなんとかなるのかなぁ?

 うん、とりあえず激痛は必須。


「でもダラダラと同じことを繰り返すのもだるい。あと鬱陶しい」

「なにぶつぶつ言ってるの!」


 私の考えなどお構いなしというようにファルゼは軽やかに舞いながら攻撃を継続してくる。いいよなぁ、考える頭もない脳筋は!

 こちらの攻撃は当たらずにひたすらに攻撃されるというサンドバッグ現象にただただストレスだけが溜まる。いや、ファルゼから攻撃されてるというだけで私のストレス値は限界突破しそうなんだよ。

 結果、私の頭名の中の天秤は痛い思いをしてもさっさとこの無駄な戦いを終わらせるというほうへと傾いた。

 天秤が傾いた私は即座に行動。

 ファルゼから距離を取るように離れて身体に纏う魔力の配分を変更する。

 守りから攻撃よりの魔力配分へ。

 そんな私の変化に気付いたファルゼはまた口元で弧を描くように笑い、また今までと同じように拳を私に叩きつけるべく、床を砕きながら私へと迫った。

 魔力の配分を変えたから全く感知できない。でも問題ない。


「ふぁるぜいんぱくと!」


 ファルゼから放たれた拳は魔力を薄くしか纏っていない私のお腹を軽々と貫通、とんでもない激痛が脳を刺激してくるし、視界がチカチカと点滅しているような錯覚まで受ける。


「つ・か・ま・え・た」

「え⁉︎」


 口から血を吐き出しながら私は狙い通りにいったことに笑う。

 避けれないなら避けずに喰らって動きを止めればいいよね?

 お腹に穴が空いたところで秘薬で治せば問題ない。圧縮した魔力を両の拳のみに集めて逃げれないように精霊樹剣を私のお腹に穴を開けた腕へと突き刺しておく。予想通りにファルゼの腕には精霊樹剣は抵抗なく突き刺さった。そして反対の手でファルゼの首を掴む。


「ちょ⁉︎」

「魔力、全解放」


 私がやろうとしたことに思い当たったらしいファルゼはここにきて初めて表情を青く変化させた。いや、実にいい表情じゃないか妹よ。

 やることは簡単、魔力で吹き飛ばす。

 突き刺した精霊樹剣とファルゼを掴んだ掌へと全身の魔力を集め、さらに首を覆うように結界を作り上げる。さっきやった風大爆発の小型版だ。だけどさっきより範囲が小さいから爆発する箇所は集中するから威力はさっき以上になる。


「おねえちゃ……」

「流石に、首が飛びかけたら死にそうにはなるよね?」


 若干涙目になってファルゼへと私は晴れやかな笑みを浮かべ、結界内で風の刃を乱射させたのだった。

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[一言] 命を懸けた姉妹ゲンカ。
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