エルフ、容赦なく殴られる
「あれぇ?」
なんかひたすらに殴られる。
さっきまでファルゼと互角で殴り合ってたはずなのに今は一方的に殴られてる。
「しゅしゅしゅしゅしゅ!」
「だからなにその掛け声!」
ふざけてるのに無駄に速い。いや、ファルゼの戦い方自体が大体ふざけてるけどさ。
魔力を身体に纏わせてると痛いけど大したダメージにはならない。
だけど私の攻撃は当たらずにファルゼの攻撃だけがひたすらに当たる。
「おねえちゃんおそくなってるよ?」
「あんたが速くなってるの⁉︎」
しかも一気に速くなるんじゃなく徐々に速くなってるのがタチが悪い。
ファルゼを殴ると共に出していた風の刃を精霊樹剣を振ると出るように変えてみたけどそれでもファルゼにダメージが入らない。
なんかイライラする。
「むー」
それはどうやらファルゼの方も同じみたいだ。なにせ決定打がない。
ファルゼの攻撃は私に大したダメージを与えない。代わりに私の攻撃はファルゼに当たらない。
風の刃はもうひたすらに乱射だ。当たればラッキーという考え方で使うしかない。
うーん、キリがないし、城がもう持たないよね? すでに城はフィオニキスの魔力が尽きかけてるから再生が追いつかないのか崩壊し始めてる。
「すーぱーふぁるぜぱんち!」
私が壊れる城に意識を向けると容赦なくファルゼが殴りつけてくる。いや、ほんと容赦ないよね。しかも殴りつけてくる時すごい笑顔だし。
殴り合いを心底楽しんでるよ。
飛んでくる拳に合わせて精霊樹剣を振るってぶつける。鈍い音と魔力の弾ける音が鳴り響く。
……一体ファルゼの拳は何でできてるんだろう?
いや、そんなことよりも城が壊れてこのまま落ちるのも嫌だなぁ。
「おねえちゃんかたすぎ!」
「あなたも避けすぎ」
感覚的に私の攻撃は多分、ファルゼにはダメージがそれなりに入るんだと思う。じゃないと攻撃を避けるという発想がなく、攻撃を喰らっても直進してくるような脳筋妹がわざわざ私の攻撃を躱したり、いなしたりするわけがない。
多分、本能でやってるから本人には自覚がないんだろうけどさ。
ファルゼの厄介なところは面倒な能力でも理不尽身体能力でもなく、勘というか本能で危機を察知するところなんだよね。
だから本当に危ない攻撃はファルゼは避ける。
つまり、確実に攻撃を当てる方法を考えなければいけないんだよね。頭使うのは苦手なんだけどなぁ。
簡単に考えるなら逃げられないようにしてから攻撃すれば全て解決するわけ。
多分、魔力を集中させた私の手さえファルゼに触れれば全部解決するわけだし。
「あぐぅ」
「そりゃぁ!」
考え事をしてたらまた殴られた。
ファルゼ、容赦ないな。これでお姉ちゃん大好き! とか言われても微塵も信用できないよ。




