エルフ、攻撃し続ける
年内に終わる予定が終わらなくなってきた……
「あれ、ここどこ?さっきの子は?」
いきなり現れたファルゼは喚び出されたことに驚いているのか周囲へと視線を巡らせてる。
この状況でファルゼが来るのは予想してなかったよ。てっきりシャオが相手し続けてると思ってたし。
魔力が身体に馴染んできたのかさっきまであった酩酊感がなくなってきてる。いや、ファルゼが現れたからか緊張して意識がしっかりしだしたのかな? どちらにせよ体の調子はすこぶるいいよね。
「あ、おねえちゃんだ!」
ファルゼの瞳が私を捉えて、姿が消える。いや、消えたようは速度で私に向かって両手を広げるようにして飛びついてきた。
まあ、みなぎる魔力で強化された今の私にはよく見える。だからこっちに飛びつこうとしてしたファルゼに向かって魔力で更に強化した蹴りを繰り出す。
「ぷぎゃあ⁉︎」
繰り出された蹴りは寸分違わずにファルゼの顔面へと叩きつけられ、悲鳴を上げさせた。だけどもファルゼは私の蹴りで吹き飛ぶ事なく、それどころか悲鳴を上げただけで無造作に拳を放ってきた。
胸元に迫る拳を掌で受け止めようする。だけども魔力で強化したはずの私の体はファルゼの不完全な姿勢から放たれた拳で軽々と後ろへと弾き飛ばされた。
「いや、我が妹はやっぱりおかしいよね?」
床を削るようにして距離を取らされた私はつくづくファルゼの理不尽な力にため息をつく。
魔力を吸収して自分を強化するという能力を弱体化して、更には私の方が明らかに以前よりも魔力で強化されているにも関わらず弾き飛ばされた。
……よく見たらファルゼのパンチを受けた手、指が折れてるし。とりあえず応急処置で魔力を流したら治ったり……治ったね⁉︎
「お姉ちゃん強くなった?」
「強くなったけどファルゼの気狂いさがよくわかったよ」
「褒められた!」
「褒めてないよ」
フィオニキスだけならなんとなく潰せる気がしたんだけど、ファルゼがいるから邪魔くさい。
でも今なら全開の魔力を出せばファルゼにも勝てるかな?
「あ、おねえちゃんやる気だね!」
「姉の本気を見せてやる」
フィオニキスが放って飛んでくる魔法は魔力の羽でなんとかしたらいい。だったら私がやる事は単純だ。
魔力を集めて、殴りまくる。
単純な攻撃こそがファルゼのスタイル、そしてファルゼに対抗する一番の策!
全身に魔力を漲らせて精霊樹剣へも漲らせる。
轟々と魔力の過剰供給で精霊樹剣が黒く輝いてる。これでひたすらに殴る。泣くまで!
精霊樹剣だから斬るの間違い? ファルゼなら斬れないからひたすらに殴るから間違いじゃない。
「ファルゼぱんち!」
「うりゃぁ!」
ファルゼが踏み込んで拳を、私も踏み込んで精霊樹剣を放つ。
普通に考えたら不思議物質である精霊樹剣がファルゼの拳を断ち切るんだろうけど、精霊樹剣はファルゼの拳と拮抗する。
精霊樹剣と拳がぶつかる。それによって精霊樹剣に込められていた魔力が弾け飛び周囲も吹き飛ばす。
「ファルゼらっしゅ!」
「痛! いたたた⁉︎」
拳が剣を止めた事など全く疑問に思わないファルゼが今度は両手を使って拳を繰り出してくる。いや、めっちゃ速い! さっき飛びついてきた時の倍は速い、強化されたはずの私の眼にもまた全く見えない速度になってる。
でも見えないなら魔力を更に纏えばよし!
そして防御は魔力任せにして私も攻撃に魔力を転じて精霊樹剣を振りまわす。
たまにファルゼの拳が私に直撃したり、精霊樹剣に当たったりしてるけど問答無用で攻撃し続ける。
「くぬくぬくぬ!」
精霊樹剣が魔力を迸りながらファルゼへと迫るのにファルゼは笑いながらそれを弾く。いや、自分が死ぬかもしれない攻撃を笑いながら拳でいなすとかやっぱり戦闘狂だよね?
それに痛い。殴られたら痛いし、強化してるはずなのに精霊樹剣を叩きつけたら叩きつけた側である私の手が痛い。
おかしくない?
「しゅしゅしゅしゅしゅ!」
ファルゼがなんかよくわからない声を上げながら拳を素早く出してくるわけだけどふざけた声を出しながら殴ってくるくせにめっちゃ速い。
なら魔力を込めて更に強化して殴った時に風の魔力を爆発させてやる。
殴る爆発、殴る爆発、殴る爆発、殴る爆発、殴る爆発、殴る爆発、殴られ爆発、殴られ爆発、殴られ殴られ爆発、殴られ殴られ殴られ! あれ? 途中からひたすら殴られ続けてない?




