精霊、撤収する
『ほれ、なんとかせい!』
『こ、このぉ!』
ふたたび城を破壊する事を再開した私に向かって、ソラウに煽られたフィオニキスが突撃してくる。
突撃して来ているはずなんだけど……
なんか遅くない? もしかしてバカにされてるのかな?
向かってくるフィオニキスはひどくゆっくりと、いや、私をバカにしたかのような遅さで向かってきている。
精霊樹剣を振り回すのをやめてこちらに向かってくるフィオニキスへと体を向けて精霊樹剣を持っていない手で拳を作り、振りかぶる。
こんなに遅かったら私のパンチでも当たるよね?
振りかぶってた拳に全身を巡る魔力をそれなりに集める。集めたと言っても精霊樹剣に集めてる魔力量に比べたらそれなりなんだけど、身体を守るための防御用の魔力が薄くなる感じがするけど周りから魔力が自然に補充されてるから問題ない気がする。
そんな魔力が集まった拳をただ振り抜く。
振り抜かれた拳に集まった魔力が私の翡翠色の風の魔力に変換されたのか、私の想像以上の速度で放たれた。振った私が一番びっくりの速さだった。
放たれた拳は魔力を纏いながら加速。こちらに突撃しようとしていたフィオニキスの額を正確に捉え、
「あ」
パァンという軽い破裂音と共にフィオニキスの顔を吹き飛ばした。
おー、精霊の頭って吹き飛ぶんだ。
『どんな速度で振り抜いとるんじゃ⁉︎』
『あたまだけふきとんだし!』
『あっしゅくりつがおかしいよ⁉︎』
『やっぱりえるふはおかしなしゅぞくなんじゃないかな!』
頭がなくなったフィオニキスの体がバランスを崩して倒れ込んだのを見ているとソラウと精霊さん達が騒いでた。
いや、だってあんなゆっくりとこられたら殴れたいのかと考えちゃわない?
まあ、バカにしてるのかと思ってイラッとしたのも確かだけどさ。
それに、
「大精霊がこんなあっさりやられるわけないし」
そう、私が殴ろうとしたのは精霊の上位にいるはずの精霊、大精霊なのだ。
そんな存在がエルフのパンチ一発で死ぬわけない。
「はい起きて」
離れた所に倒れている首なし死体? と読んでいいのかわからないものに魔力を込めた精霊樹剣を振るい、魔力を放つ。
動かないならこのまま微塵切りにしてけばいいだけだしね。
『ぬおぉぉぉ!』
やっぱりというべきなのかフィオニキスに首なし死体? は魔力による斬撃が到達する前に床を転がりながら回避した。
やっぱり生きてたし。
『死んだらどうするの⁉︎』
吹き飛んだはずの頭を瞬時に再生させたフィオニキスが信じられない物を見るかのような表情を浮かべて私に噛みついてくる。
いや、攻撃してきたのはフィオニキスが先だよね? 私からやったわけじゃないよね?
『精霊は死なんじゃろ』
『そういう問題じゃない!』
ソラウが淡々と告げた言葉にフィオニキスが噛み付いてる。
いや、もう面倒だから。
「さっさと終わらそう……」
『話し合いとかは……』
「そんな段階はとっくに過ぎたよね?」
魔力を込めて精霊樹剣を振り回して破壊活動を再開。今まで以上に適当に振り回す精霊樹剣は更なる破壊を生み出す。
『うひゃー』
『これはもうだめだ』
『てっしゅー』
精霊さん達が楽しそうな悲鳴を上げながら城から我先にと逃げ出してる。
まあ、自分が可愛い精霊さんならそうなるよね。
『うむ、我らも撤収じゃ!』
『あいさー』
『らじゃー』
『おしろ、こうかします』
ソラウ達もやばいことに気づいたようで突撃してきた私の城の方に撤退を開始。同時に突き刺さっていた城が降下を開始していた。
そうだ、城を飛ばして突撃してきてたから城を地上に降ろしてもらわないと私の寝るところがなくなっちゃう。
『だからやめろって!』
「やだ」
私が破壊活動を再開したのでフィオニキスがまた飛びかかってきた。
飛びかかってきながら魔法、黒い手を放ってくるけど私に触れることができずに背中の魔力の羽と精霊樹剣が分解してる。
さらには分解した魔力を吸収、吸収された魔力は精霊樹剣へと供給されてそれが振り回さられるたびに魔力が解き放たれて更に破壊活動が進む。
「あーねむい」
剣を振るうと魔力が抜ける。でも消費する以上に魔力を吸収してるからか頭のクラクラが止まらない。
あーどんどん眠くなるねぇ。




