エルフ、危機を感じる
『建物に対する敬意とかないの⁉︎』
「私のじゃないんで」
城を破壊しようと私が振り回した精霊樹剣をフィオニキスが慌てたように魔法か何かで作り上げた剣で受け止めながら叫ぶ。
私のじゃないし? しかも私が住んでるわけじゃないんだから壊すことに対して私は一切の躊躇いなんて持たない。
現に私を止めるのに手一杯なフィオニキスは精霊さん達やフィズの暴挙を止められないでいる。
『きんじゅしさくさんばんはつどう』
『ふぁいやー』
にこやかな声とは違いえげつないくらいの魔力が込められた魔法が城へと叩き込まれていく。
さすが禁呪。面白いくらいに城が壊れる。そして修復されてフィオニキスの魔力が減っていく。
『チビ精霊のくせに!』
「そっち見てていいの? ほりゃ!」
フィオニキスが精霊さん達に気を向けた隙を突いて更に精霊樹剣を振り回す。それをまたフィオニキスが慌てて魔法剣で受け止めて、その隙にさらに精霊さん達が禁呪をぶちかますというループが完成しています。
『ぐぬ、闇の手!』
キリがないと判断したらしいフィオニキスが新たな魔法らしき物を唱えます。
というかあれは気持ち悪すぎる。
フィオニキスが闇の手と唱えた瞬間、フィオニキスの背中から幾つもの真っ黒な手が現れて周囲を飛び交い始めた。
『きもちわる!』
『あれもけしとばしちゃえ!』
宙を飛び交う黒い腕に私と同じような嫌悪感を持った精霊さんが禁呪を容赦なくぶっ放す。
一応、禁呪って凄い難しい魔法だった筈なんだけど普通の魔法ばりに乱射されてるね。
そして禁呪の名に相応しい火力を叩き出してる。精霊さん達を止めるようにフィオニキスに指示を出されたであろうアンデット達が成す術もなく消し飛ばされてるし。
でもそんな威力の禁呪を真っ黒な手は軽々と受け止めてる。
『なにぃ!』
『きんじゅをとめた⁉︎』
『それなりの魔力を払ってるんだから禁呪くらい簡単に止めれるよ!』
真っ黒な手は禁呪を止められ驚いている精霊さん達へと更に数を増やしながら襲い掛かる。
先程まで一方的に攻撃を仕掛けていた精霊さん達だけど禁呪が防がれる事で一気に形勢が逆転した。
『なんできんじゅとめれるの!』
『ぶきもきかない』
『これだからだいせいれいは』
『しんじゅぶっぱぁする?』
繰り出される黒い手を躱しながら精霊さん達がまた物騒な事を言ってる。きっと神呪はやばい。使われると私もなんか巻き込まれそうな予感が凄くする。なんかチリチリとした感じがするし言いようのない危機を感じる。
飛んでくる黒い手を精霊樹剣で払い、フィオニキスと距離を離してさらに城を破壊しようと試みるけどすぐに大量の黒い手が追加されてくるからうまくいかない。
精霊さん達が焦れて絶対にやばそうな神呪をぶちかまさないうちになんとかしたい。
『こうなれば採算度外視でまずはここを制圧するよ! 遊びはなしだ!』
どうやら先に焦れたのはフィオニキスの方だったようでまるで手品のように一瞬にしてフィオニキスの指に幾つもの指輪が現れた。指輪にはそれぞれ漆黒の宝石が取り付けられてるし、なんか凄い魔力感じるんだけど……
『じゃぁ、魔力勝負といこうか!』
「え、だるい……」
『我も混ぜよ!』
なんか好戦的になったフィオニキスの声に被せるように聞き慣れた声が耳に入り、そして床を突き破り、破壊しながら姿を現したのだった。




