大精霊、ぬける
床へと振り下ろした精霊樹剣が蓄えた魔力を爆散させる。
振り下ろかれた床は容易く砕け散り、解き放たれた魔力が周囲を軒並み砕き、爆発し、崩壊させていく。
ああ、壁もひびがはいりはじめてる。さらに崩壊が広がる浮遊城。どうやって浮かんでるのかわからないけど城が壊れたら浮かんでるのはただの瓦礫になるからねぇ。それに想像以上にこの城は脆かったらしい。
当然、私が足場にしていた床も崩壊する。
砕け散った床の破片が思いのほか凄い勢いで私にぶつかってきたりして痛いけど、さっき飲んだ秘薬の効果でまだ死ぬほどじゃない。
床が崩壊していくたびにフィオニキスが使役していたアンデットも地上へと落下していってる。アンデットは魔力が供給される限り不死だけどそれは肉体が壊れなかったらの話だ。空を飛ぶ能力がなければこんな高高度から落下したら大体の生き物が大地の染みになるだろう。これは思わぬ誤算。
『なにやってくれてるのぉぉぉ!』
崩壊を続ける城を目の当たりにしたフィオニキスが絶叫してる。
いいね、その顔。
「だってフィオニキスに魔法で勝てる気がしないし」
『だからって足場を壊すなんてエンシェントエルフはバカなの⁉︎』
「飛べるし?」
『これだから常識外のエンシェントエルフは!』
宙に浮かびながら地団駄を踏むという器用な事をフィオニキスはやってるけど、そんなことをしてる間にも城の崩壊は進んでる。でもゆっくりとだけど城の破壊跡は再生して元に戻ろうとしてる。でも崩壊を手助けしてるのはというと、
『きゅううううう!』
今までよりも遥かに威力のある竜魔法を連射しているフィズだった。
標的はフィオニキスが操る魔法を吸収する黒い球体だったけど、度重なる竜魔法の連射についに魔法の吸収が追いつかなくなったようで魔法が直撃するたびに周りに黒い球体は吸収せずに拡散させるようになってた。そして拡散した魔法が更に城を、アンデットを破壊していく。
飛んでくる魔法の残滓を躱しながら怒鳴りまくるフィオニキスへと視線を向ける。
『ま、まずい。流石に城が半壊したら空を飛ぶ魔法が維持できなくなるし、修復のせいで僕の魔力が無くなる!』
意外と切迫した表情を浮かべてた。
どうもこの城自体が空を飛ぶ魔法を発動させているらしい。
なるほどなるほど。さらに魔法が不完全だとフィオニキスにも何かしらのデメリットがあるみたいだ。ふーん。
再び私は精霊樹剣を振り上げ、魔力をたくさん込める。
『ちょ、やめっ!』
「やだ」
制止しようするフィオニキスを無視して、再生しようとしている場所に向けて精霊樹剣を振り下ろした。そしてまた爆発する床床床。
城の崩壊が更に進む。ついでにフィオニキスが悲鳴を上げてる。
『なぁぁぁぁ! 魔力がぬけるぅぅぅぅ!』
魔力の塊であるある大精霊が悲鳴を上げてる。凄い魔力の塊だったのにわかるくらいに一気に魔力が減ってる。それでも破壊跡は時を遡るように修復していく。
でも、城は戻ってるけどフィオニキスは見た目も若干痩せた気がする。
これなら私は特に苦労せずにフィオニキスを弱体化できるよね?
「この調子でいこうか!」




