エルフ、削られる
「とりあえず壊れない事はわかった」
無駄に丈夫になった精霊樹剣を軽く振って突き刺さったままだった鉄球をファルゼのいるあたり目掛けて落としておく。
『さりげなくファルゼに落とすんじゃな』
「じゃ突然してさっさと昼寝にしよう」
ソラウの言い分なんて無視だよ無視。
それより私の睡眠時間の確保に忙しい。だって一日中寝ていたいわけだし?
ファルゼの魔力を封じも上手く動いてるみたいだしこの間に動くべきだしね。
「私が突き進むから精霊さん達やソラウは後に続いて。あの城、」
叩き落とすからと言葉を続けようとした瞬間、ヘルムダートが私が動かしたわけじゃないのに急に動いた。そんなヘルムダートの横をさっき私が落とした鉄球が凄い速度で飛んでいった。
「なに?」
ヘルムダートには私が動かしていない間は何かが近づいて来たら自動的に避けるようになっているけどそれに助けられたみたいだ。動いてなかったら直撃だった。
そして飛ばして来たであろう方向を見るとやっぱりかすり傷くらいしか負っていないファルゼがしっかりと地面に立っていた。
『のう、あやつ結界の効果を受けてるように見えないんじゃが……』
「奇遇だね。私もそう思う」
試しに結界の方に意識をやってみても対ファルゼ結界は確実に作動してる。現状のファルゼは魔力を吸収してすぐに結界に魔力を吸われているから身体の強化なんてできないはずなのに。
でも今、私を見上げてるファルゼの身体には明らかに魔力が纏われてるんだけど……
「精霊さん、不備?」
『しつれいな』
『けっかいはかんぺき』
『たぶんすわれるりょうよりたいりょうのまりょくがそそがれてるかんじ?』
なるほど。不備じゃないならそれが一番可能性がありそうだ。
でもそうなるとファルゼの相手をしないでいけないんだよなぁ。
いや、それ以前に誰がファルゼに魔力を流してるんだろう?
『おそらくじゃがファルゼの付けとる腕輪じゃな。あれからフィオニキスの魔力を感じる』
「腕輪?」
そう言われてファルゼの腕に注目してみると確かに腕輪が付いてた。しかもすっごくセンスの悪いやつ。なんか人が絶叫してる表情みたいなデザインなんだけど…… 見てるだけで何か、かもち悪いし精神的な物が削られそうなんだけど……
「呪いのアイテム?」
『いや、あれはフィオニキスの趣味じゃな。相変わらずセンスないのう』
まあ、人の願いが叶う寸前に絶望に叩き落とすなんてする真似をする大精霊がセンスがいいとは思えないけどね。悪趣味だし。
『あの腕輪、魔力供給しとるな』
「ファルゼ対策読まれてたのかな?」
『おそらくな』
「じゃ、あれ壊せば結界の効果が出るようになる?」
『効果はあるじゃろうな。あくまでも壊せたらという条件があるが。フィオニキスも腐っても大精霊じゃぞ? そんな簡単に壊せるような物を作るとは思えんな』
センスが悪くてもさすがは大精霊といったところだね。なにより腕輪をつけてるのがファルゼだし、それだけで腕輪を壊すという難易度が跳ね上がってる。
「お姉ちゃぁぁぁぁん!」
考えてたらファルゼが満面の笑みを浮かべながら飛び上がって来た。
ああ、なんて面倒な妹なんだろう。




