精霊、笑う
『これで動くはずじゃ!』
『ほんとー?』
『しんようできなーい』
ソラウの自信満々な声と正反対の精霊さん達の疑惑に満ちた声が私がうたた寝している空間に響く。
全く信用されてないな、大精霊。
ソラウはどうしても城を浮かすという魔法を私の魔力を使わずにやりたいらしい。なんか精霊ってみんな職人みたいな考え方するよね。結局動くなら方法は楽な方でいいと思うのに。
『ロマンがないのぅ』
『なしなし』
『ゆめなし』
『かいしょうなし?』
バカにしてるよね⁉︎
ロマンがなくても生きていけるんだよ⁉︎ むしろロマンを追い求めている間の時間でねれるんだよ⁉︎
「そこで睡眠欲が出てくるのがイルゼ様ですね」
「いつも寝てるのにねー」
なぜかアンとトロワにもバカにされた気がする。誰にも迷惑かけてないのに。
『今回の魔法陣はファルゼの奴を参考にしたのじゃ』
「ファルゼを?」
あんな脳筋エルフのどこに参考にするところがあるんだろう?
『いや、お主と同じであやつも充分異常なエルフじゃからな? 周りから魔力を集める能力なんて普通はないんじゃぞ?』
『ちーと』
『ずる』
『ひきょう!』
凄い言われようだ。やっぱり魔力を吸う力ってレアなんだ。
まあ、昔はファルゼと一緒にいたら体調わるかったしなぁ。前会った時はそうでもなかったけど。
『今回組み込んだ魔法陣はファルゼが無意識に使ってた能力、魔力吸収じゃ』
「なるほど、足りない分を周りから集めるってわけだね」
『……珍しく物分かりがいいのぅ。何か悪い物でも食べたか?』
なぜかソラウから心配するような眼差しで見られた。ちゃんと考えて答えたのに酷い言い草だ!
『それぼくたちへいきー?』
『へちゃる〜』
『まりょくなくてうごけなくならない?』
そういえば精霊さん達の活動源は魔力だしね。周りから手当たり次第に魔力を吸収なんかしたら精霊さん達はすぐに倒れちゃうはず。
『そこらへんは空気中の魔力を吸収するように弄っておる。無差別に吸収すると我も吸われるからな』
「ソラウなら大丈夫じゃないの?」
『魔力が無いと空も飛べなくなるからのう。意外としんどいんじゃぞ?』
私は空なんて飛べないからわからないけどね。魔導具を使ったらべつだけど。精霊はずっと飛んでるもんね。歩いてるのなんて見た事ないし。
『とりあえず、この魔法陣で一週間位魔力を集めればいけるじゃろうな』
「意外と早いね」
『この森、異常じゃからな』
この森がどう異常かわからないけどね。魔獣とか精霊さん達が武器の実験で消し飛んでるし、森の地形は一週間経てばまるで違う物になってるし。
……あれ? 異常かな?
「まあ、一週間でなんとかなるならいいんじゃない?」
『そうじゃな。流石に一週間で世界が滅びたりはせんじゃろ』
『それはない』
『ないない』
『『『『わっはっはっはっは!』』』』
何が面白いのかわからないけど精霊さん達は大爆笑だ。
いやな予感がするなぁ。




