エルフ、起動する
「は?」
あたしは自分が見た光景に驚いて間抜けな声を上げた。
あのエルフは確実に意識はなかったし、近接戦闘のセンスなんてかけらもなかったんだから意識もない状態で攻撃を避けれるはずがないんだから。
「やっばっ!」
「サロメディス、私たちは逃げるわよ!」
ハクとマカーレフは顔を青くしながら逃げ出していた。それに追従するようにドクター、さらにはターナトスも続いていた。
みんなビビりすぎだよね。
「まあ、いいわ」
あたしにはまだターナトスの腕から作ったブラックスケルトンが五体もいるんだからね!
『本体への悪意を認識しました。補助魔法、戦闘人形起動』
なんかエルフが変な感じに喋ってるわ。掴んだ剣を握って粉砕し、ゆっくりと立ち上がったエルフに対して、剣を繰り出したスケルトンへとさらに攻撃の命令を下す。
使えなくなった武器を手放したスケルトンは僅かに後ろに下がり、骨だけの体を軽やかに宙に舞わし、回し蹴りを無防備なエルフへと放つ。
放たれた蹴りは無防備なエルフへと迫り直撃するはずだった。
『魔力供給開始』
感情が全くこもらない声が告げた瞬間、エルフの全身から全く感じていなかった魔力が突然噴き出すように放たれた。
「な、なんなの⁉︎」
エルフの体から放たれる魔力は明らかに物理的な圧力がある。
ただ、体から放たれているだけなのにあたしの体が後ろに押されるほどに!
『魔力固定、身体強化の効果を上昇』
体から放たれていた魔力が徐々に少なくなり、エルフの体が恐ろしい密度の魔力で覆われていく。あれはやばいわ! あんな密度の魔力を体に纏われたらあたしの攻撃なんかじゃ手出しできなくなる!
「ブラックスケルトン! あれを殺しなさい!」
その前に攻撃して少しでも魔力を削る!
下された命令に従い、外でのディザスターとの戦闘時に作り上げた五体のブラックスケルトンが武器を構えエルフへと迫る。
あの精霊達の馬鹿げた兵器すらも壊したブラックスケルトンなのよ。エルフの魔力くらい簡単に潰せるはずだわ!
『脅威排除を開始します』
ブラックスケルトンが迫り、手にした武器を振り下ろしたと同時に無機質な声が響く。次の瞬間、二体のブラックスケルトンがただの骨へと分解され地面に散らばったのだった。




