幹部、命令する
「あら? これは意図せずに憎きエルフに復習するチャンスかしら?」
あたしが蹴り飛ばしたディザスターの残骸がたまたま直撃したらしいエルフは気を失っているのか床に倒れたまま全く動かない。でも胸が上下してるみたいだし死んでないみたいね。
正に今が絶好のチャンスというやつからしら!
「サロメディス、嫌な予感がするからやめた方がいいわ」
「……ボクも同感だよ」
あたしが手に骨の剣を作り出したのを見てとったマカーレフと彼女に抱えられているハクが待ったをかける。
「このエルフには嫌な目にあわされたのよ! そんな憎い奴が目の前で意識がない。精霊達からの魔法の追撃も止まったわ。まさに絶好の機会なのよ」
「ひひ、精霊もどうやら疲れているから傍観みたいだしね」
ドクターの言うようにこのエルフが意識を失ってから先程まで魔法をばかすか撃ってきていた精霊達がまるで水を打ったかのように静かになった。
「ただの魔力切れでしょ?」
あたしのスケルトンもあたしの魔力の供給がなくなれば動けなくなるし。精霊もおそらくは同じようなものでしょ。
「いや、どう考えてもやばい。ボクの野生の勘がそう言ってる」
「私の直感もやめた方が良いと言ってるわ」
「ひひ、非科学的だね」
「……」
マカーレフとハクはやめた方が良いと言い、ドクターはどっちつかず。腕を切られすぎて廃人寸前のターナトスは虚な瞳だしよくわからないわね。
野生の勘を信じるべきかしら?
「やっぱり殺しとくわ!」
悩むこと三秒。あたしはすぐに自分の考えを信じることにした。
やっぱりこのエルフむかつくし!
手にした骨の刃を憎っくきエルフの首を刈り取るべく大きく振りかぶる。
いくらこのエルフが化け物じみた魔力を有している存在であったとしても寝ているエルフの首ならあたしでも落とせるわ。
「ボクらは撤収するよ? 魔王さまもなんか周りで遊んでるみたいだし」
「ここまで魔王さまをお連れするという仕事は達成したわ。精霊達が騒いでない今が頃合いよ」
「なにあんた達ビビってるの?」
なんかえらく消極的よね。
「そのエルフ、あきらかに気を失ってる状態の方がやばいじゃん。サロメディスが距離を積めるたびにボクが側にいるわけでもないのに悪寒が止まらないんだよ」
「私もよ」
「ふーん」
そんな威圧感なんて感じないんだけど?
でも二人がそこまでいうんだったら警戒した方が良いのかしら?
少し悩んだ末にあたしは即座にターナトスへと振り返り骨の剣を振るう。
振るわれた刃はターナトスの腕を容易く切断して地面へと落下させる。
腕から血が吹き出ているにも関わらずターナトスは無反応。その横にいたドクターが止血と薬を注入してまるで何事もなかったかのようにターナトスの腕が新しく生えた。
すでに何回も繰り返されてるからか手並が鮮やかね。
切り落としたターナトスの腕へと魔法を施し、即座にスケルトンへと作り替える。
現れたスケルトンへとあたしは持っていた骨の剣を放り投げ、気絶するエルフを指差す。
「首切って」
あたしの命令を受けたスケルトンがエルフの元へと向かっていった。
「これで文句ないでしょ?」
「いや、やばいのにかわりないから」
「逃げましょう、すぐに!」
近づかないで殺せるになんでこの二人はビビってるんだろう?
あたしが疑問に思っている間にスケルトンはエルフの側により、振り上げた骨の剣をを振り下ろしエルフの首を刎ねようとし、突然動いたエルフの腕に骨の剣を受け止められていた。




