エルフ、壊される
「あぐかぁぇ⁉︎」
何かに吹き飛ばされた?
視界がグルグルと回って気持ち悪い。向いてるのは上? 空? 精霊さん達がすごい形相で追いかけてきて何かを喋ってる気がする。口が動いてるけど音が聞こえない?
『ー! ー!』
何言ってるか全然わからないよ。
あとなんか頭がちゃんと動いてないような気がする。
いや、そもそもか座っていたはずのヘルムダートはどこに?
色々と頭の中に疑問が浮かぶけどモヤがかかったようでいまいちちゃんと考えれない。
これはまずい。
そう感じたので秘薬を取り出して飲もう口に含むけどうまく飲めない。
時間をかけて少しだけ口にすると頭にかかっていたモヤのようなものは無くなり、更には耳も元に戻ったのか周りの音がちゃんと聞こえるようになった。ってかうるさ⁉︎
何この状況? 落下中?
『いるぜー』
『さすがにそろそろなんとかしないとー』
『くびからおちたらしぬよ?』
そりゃ死ぬよね⁉︎
ちゃんと下を確認したらすでに地面が近い!
精霊樹から魔力を引っ張り出して即座に地面に向かって風の魔法を叩きつけて落下速度を減速。無理矢理減速した事で体のあちこちが悲鳴をあげるけど死ぬよりはマシ。
それでも地面に着地した拍子に体にとんでもない衝撃が生じる。痛い、痛すぎる。
「何が起こったの?」
『ばくはつー』
『けんがぶつかって』
『どかーん! ってなった』
剣がぶつかって爆発?
確かにダークエルフさんの剣と私の精霊樹剣がぶつかったけど剣がぶつかるだけで爆発なんて起こるものなの?
『というかあのだーくえるふおかしい』
『なんでせいれいじゅけんのこうげきくらってげんけいあるの』
『まじぱない』
『それどころかせいれいじゅけんこわしたし』
精霊樹剣を壊した?
なんか不吉な言葉が聞こえたので私は手の中にある精霊樹剣を持ち上げて刃を観察する。
めっちゃヒビ入ってるんですけどぉぉぉ⁉︎
確か壊れないんじゃなかったの⁉︎
『だからぼくらもおどろいてる』
『ふつうこわれないのにね』
『いるぜのまりょくまでつかってるのに』
どんな力使ってるのダークエルフ……
ダークエルフってあんまり生まれないって聞いたことがあるけどあんなのが沢山いたら確かにやばそうだよ。
「なんか楽しかった」
私と同じように吹き飛ばされたらしいダークエルフさんが森の樹々を斬り飛ばしながら全くの無傷で姿を見せた。
私、結構ダメージを受けたんだけどなんであっちは無傷なの! しかもめっちゃ笑顔だよ!
「私、自分の攻撃止められたの初めて」
それは満面の笑みを浮かべてダークエルフは私を見てる。手にした剣を適当に素振りしながら。
かなり距離があるにもかかわらず、剣が振り回されるたびにそこらの地面に切り傷みたいのが刻まれてるよ。
ダークエルフさんが持ってる剣もよく見れば結構ぼろぼろだ。あの黒騎士の剣、確かかなり丈夫だったんじゃ……
「大体私が攻撃したら穴が開くか真っ二つなんだけど」
やだ、なにそれ怖い。
攻撃=死になってるじゃん。
「頑丈」
「こんなか弱そうなエルフを指差しながら対極の言葉を吐くんじゃない!」
なんとなくこのダークエルフとは友達になれない気がする。あれだ、ファルゼと同じでジッとしとくのが無理なタイプだ。
「頑丈だからもうちょっと遊ぶ?」
「遊ばない!」
否定の言葉を無視してダークエルフさんはまた私に飛びかかってきたのだった。
対話は無理だ!




