精霊、出撃する
『せいれいへいきどんどんこわされてる』
『だんまくうすいよ』
『よびもありったけだすー』
精霊さん達が場内を慌ただしく駆け回る中、私はというと喚び出した安楽椅子型魔導具であるヘルダートに座り揺れていた。
私の頭に浮かぶ地図には精霊兵器の反応が次々と消えていくのがよく分かる。明らかに異常な速度で消えていく。
これは私の元から消えた黒騎士の指輪が突然無くなったくらいから一気に増えた気がする。
森に魔力の塊みたいなのが現れた時から黒騎士の指輪はなんか様子が変だったんだよ。
なんか指輪が引っ張られる感じ? まるで元にあった場所に戻ろうとしている感じだったから契約を解除してあげたら指元から消えた。
そんでもって消えた黒騎士の反応が大きな魔力の側にあるんだよね。
「精霊さんじゃ無理なんじゃないかなぁ」
漠然とした予感を私は口にする。
私は黒騎士をまともに扱えない。どちらかというと魔力を与えて命令を下して放置してる。
でも今の黒騎士は多分、完璧に使われてる。
だからこそ訳の分からない程の力が出てる感じがする。とんでもない魔力量が放出されるたびに頭に痛みがはしって脳内に浮かぶ地図にノイズみたいなものが発生してるし。
地図を見るのはもうやめとこう。頭が痛くなるし。
「で、精霊さん。小さい魔力は減ったみたいだけどこれからどうするの?」
『そうりょくせん』
『ぶきをてに』
『つっこむのー』
『からみてぃのざいこいっせいほうしゅつ』
『ばーじょんあっぷもためそう』
『がいぶそうこうついかしし』
『いぜんとはくらべものにならないつよさ』
つまりはいつも通りの全力攻撃らしい。
まあ、精霊さん達が満足するならそれでいいんだけどね。私に迷惑がかからない範囲でやってほしい。
あと何気にカラミティもパワーアップしてるらしい。
『きんじゅぶきもつかう』
『ふぁるぜののうりょくをさんこうにしたんだよー』
響きが不穏すぎます。
絶対に碌なものじゃない。
ファルゼ関連のものだからこそ余計にそう思う。あれは参考にしちゃいけない気がする。
『ぜんいんいくぞー!』
『『『おー』』』
精霊さん達が手にした武器を天に掲げて似合わない雄叫びを上げながら外へと飛び出していく。ついでにかなりの数のカラミティも飛んでいく。
「飽きたら帰ってくるか」
飛んでいく精霊さん達を見送りながら私は目を閉じて惰眠を貪ることにしたのだった。




