エルフ、弱点をつかれる
『なんか予想外な奴にダメージが入ったのう』
『いや、パイセン。普通なら耳が潰れてもおかしくない暴音っすよ? なまじ耳がいいエンシェントエルフにしたら拷問っすよ』
床で転がり回る私をまるで奇妙な物を見るような視線で見てくる大精霊二人。
いや、そんなことより耳へのダメージが凄まじい。耳が痛いのか頭が痛いのかわからないくらいに痛い。
いきなりの爆音は私の身体に想像以上のダメージだ。
「いたぃ、いたぃよぉ」
視界を涙で滲ませながらもとりあえずはポーチにいつも入れているエルフの薬を取り出して口へと放り込む。
少ししたら痛みが引いてきて多少はマシになる。
耳を触ってみたら手にべったりと血がついた。いや、あの爆音はどれだけ私の身体にダメージを与えたのか……
「なんか音に対する対策を立てないと音で殺されるんじゃないかな」
『意外な弱点じゃったな』
ソラウは笑ってるけど私としては死活問題だから笑えない。
『よくもやったなぁぁぁぁぁぁ!』
私よりも爆音と閃光を近くで、しかも直撃したはずのハッピーベールがもうもうと舞う土煙を吹き飛ばすような勢いで怒声を上げる。
いや、傷がほとんど無いってどんな化け物なの……
『丈夫すぎない? 並の精霊なら消し飛ぶくらいの威力だったんだけど』
「おい!」
小さく呟いたイーリンスの言葉に私は目を見開いて抗議の声を上げる。
そんなえげつない威力を出してたの⁉︎
いや、余波だけで私にあれだけダメージを与えていたんだからそれくらいあったのかも。
でもその威力でもハッピーベールにはかすり傷くらいしか与えてないの?
『エンシェントエルフの遺伝子はえぐいのう』
『地上におけるチート種族っすからね。ダークエルフも大概っすけど』
エルフつよぉい!
私、あんなに強くないのに…… 差別?
『その植物が魔力食べてるんでしょ! そんで他のが魔力撃ってるんだ!』
おお、ドジで頭の弱い子かと思ってたら意外とちゃんと理解してた。
だけどそれでも対応策が私には浮かばないんだよね。
魔力を纏えば魔力イーターが食べる。魔力を武器に纏わせても魔力イーターが食べる。
つまりさハッピーベールのいや、精霊の攻撃方法では大体食べられる。
そして食べられた魔力は撃ち出されるという悪循環。
まさに精霊殺し。
あれ、無敵じゃない?
『大方、無敵とか考えとるんじゃろうが、あれが効くのは同格か、格下くらいじゃからな? さっきも言ったが魔力イーターが食べる魔力には上限があるからのう。我には意味ないし』
『あれが大した脅威じゃないとか言えるのはパイセンみたいな戦闘が得意な大精霊だけっすよ。通常の状態の自分では無理っす』
テナールがカラカラと笑うソラウを呆れたような眼差しで見てる。
ソラウってやっぱり戦闘系の大精霊なのか。他の大精霊を見たことないけど他にも戦うの大好きなのがいるのかもしれない。
そういう騒がしいことはあんまり会いたくないなぁ。
『あなたの相手は疲れるからさっさと終わらせるわ』
盛大に叫くハッピーベールにうんざりとしたようなイーリンスが合図を出すように片手を軽く上げると周りの巨大植物が顔? と呼んでいいのかわからないものをハッピーベールへと向け、一気に襲い掛かったのだった。




