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精霊樹のエルフは働かない  作者: るーるー
お客様襲来編
320/429

ござる、離脱する


「にーんにんにん」


 すでに日も落ちて暗がりが支配しつつある森の中を拙者、パントリーは樹から樹へと飛び移りながら移動する。

 さっきまで執拗に追いかけてきていた精霊達も忍法の大盤振る舞いによって引き離したようでござるな。


「魔力はすっからかんでござるが、あそこにいたエンシェントエルフとは事を構えたくないでござるなぁ」


 脳裏に浮かぶのは椅子に座ってだらけていた同族であるエンシェントエルフの姿でござる。

 だらけているように見えて体から溢れる魔力は恐ろしい程の量でござった。

 なにより話しかけただけで体を真っ二つにされるなんて思わなかったでござるよ。変わり身の術が一瞬でも遅れてたら本当に死んでいたでござる。

 しかもあのエンシェントエルフの中でも類を見ないほどの魔力を使わないでアレでござるからなぁ。もし魔法が放たれていたらと思うと真っ青でござるよ。


「まじでないでござるわー」


 できることなら拙者の仕事としてはお近づきにはなりたくないタイプでござる。

 だらけるのが好きそうであったからそこは仲良くできそうでござったが。


「いや、まじで依頼主ぶっころで首を手土産にしてあっちに雇って貰ってもいいと考えてしまうでござる」


 依頼主とはお金の関係。

 ギブアンドテイク、ドライな関係でござるからな。

 そして趣味で忍者をやってる拙者としてはより良い雇用条件につくのが当たり前でござるゆえ。今回の依頼は報酬が良かったから受けただけでござるし。

 今の職場、ブラックでござるからなぁ。

 なにせ、まともな情報なしであんな化け物みたいなエンシェントエルフの暗殺とか頭が沸いとるとしか思えないでござるしな!

 三食昼寝付きに釣られて契約してしまったのが悔やまれる。


 そんな思考をしていたからか前方への意識が僅かに逸れる。その隙を見逃さないと言わんばかりに拙者より高い位置から殺気が降り注ぐ。

 おそらくはなんらかの魔獣と頭が認識するよりも早く反射的に体が動く。腰のポーチから忍具であるクナイを片手で四本取り出すと一振りで投じる。

 放たれたクナイは樹から飛び降りてきた狼のような魔獣の両眼と額、首へと突き刺さる。さらにクナイの端に付けられている爆発する札である起爆札が爆発する。

 あっという間に魔獣のバラバラ死体の出来上がりでござる。


「この辺の魔獣はやはり他の所よりも強靭で凶悪でござるなぁ」


 普通、エンシェントエルフの放つ魔力を感知したら魔獣なんて襲ってこないものでござるが……

 おそらくはあの城にいるエンシェントエルフの魔力が森全体に満ちすぎて元々強靭だった森にいる生き物全般を強化しているからでござろうな。

 そのせいで強さの基準があの城にいる方々になってるせいでただのエンシェントエルフくらいの魔力では威圧にすらなっていないのでござろう。なんで魔境でござるか。


「とりあえずは精霊樹のエンシェントエルフであるイルゼ殿には手出し無用と報告するでござるよ。依頼主がごねたら首チョンパでござるな」


 あんな戦っても勝てる見込みがない輩と戦わせるような依頼主はこちらから御免でござるからな!

 切り札を切れば多少は勝ち目がでるかもしれないが勝てる見込みは薄いでござるし、やるなら自分でやってもらうでござるよ。なんならイルゼ殿の前まで引きずって連れて行ってやるでござるし。それくらいはアフターサービスするでござるよ。


「そうと決まれば再就職の準備でござるな! にんにん」


 今後の展望を決めた拙者は樹から樹へと飛び移る速度を上げて森を離脱するのでござった。

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[一言] さすが忍者したたか。
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