エルフ、断る
ソラウがやる気を無くして戦線離脱。というかくつろぎ始めてるし。あ、お菓子まで食べ始めた。なにそれ、見たことないお菓子だ。私も欲しい。
「お姉ちゃん!」
「はぁ、なに?」
すごく嬉しそうなファルゼとは対照的に凄く嫌な私。
だって妹だけどファルゼと一緒にいると碌なことが起きないんだから。体は重くなるし、魔力の回復も遅い。
あと何より安眠できない。
この子の側で熟睡したらよくて体の一部が吹っ飛ぶ。運が悪ければ死ぬ。抱きつかれたら身体中の骨が砕ける。
「お姉ちゃん、家出なんかやめてお家に帰ろうよ!」
「家出?」
はて? 私はいつ家出したんだろう?
家出というよりむしろ追い出されたよね?お父様に。
しかも殴られたよね。
…… いつかやり返してやる。エルフは恨みを忘れないんだからな!
「え、お父様がお姉ちゃんは家出したって……」
「いや、私放り出されたんだけど?」
リンゴと精霊樹の苗、あとダンジョンコアだけ袋に放り込まれてね。
まあ、精霊樹の苗とダンジョンコアは凄く役立ってるから助かったけどね。
「…… あとでお父様は締めておきます」
「あ、うん。お母様も締める?」
「お、お母様は無理かな」
多分、ファルゼの方がお父様より強いから確実に締めれるね。
何年に一回かは背骨折れてるしね。
お母様は無理だよね。お母様は笑顔で振り下ろした拳で大地割れるしね。
戦って頭なんて殴られた日には多分死ぬ。生きていても記憶を失いそうなくらい痛いんだから。
「お父様は締めるのでお姉ちゃん! 帰ろ!」
「え、いやだし断るけど」
「えぇ⁉︎」
輝かんばかりの笑顔でファルゼが手を伸ばしてきたけど私はそれをあっさりと振り払う。
なんで私の自由に過ごせる場所を作ったのにまたあんな狭苦しい所に帰らないと行けないんだよ。
「家に帰ったら自由に寝れないじゃん!」
「ええ、ファルゼと遊んでよ!」
「いやだよ」
ファルゼと遊んだらしんどいじゃん。
主に私が身体中の骨が折れるみたいな形でしんどい。
そのためにファルゼが来ると言われた時点で私はエルフの秘薬を先に飲んでいるわけだしね。
ないとまともに戦えないわけだし。
「むぅ、だったらファルゼが無理やり連れて帰るもん!」
「ただの駄々っ子じゃん」
頬を膨らませ、また拳を構えたファルゼを見て私は深々とため息をついたのだった。
相変わらず私と同じで頭を使うのが苦手な妹だよね。
まだ私の方が頭を使ってる可能性があるよ。




