精霊、迎撃開始する
『せいれいへいき、いちばんからじゅうばんまできどう』
『たいしょうはそらにとんでるものすべて』
『りょうさんがたからみてぃはっしんじゅんびー』
精霊さん達の掛け声と共に城がどんどん形を変えていく。
城の上には幾つもの砲が姿を見せ、さらには精霊兵器カラミティが何体も姿を現し、規則正しい動きで展開されていく。
一体いつの間にこんな数というか戦力を整えたんだろう?
国でも滅ぼすつもり? どう考えても普通の襲撃者に対してなら過剰戦力だ。
でもファルゼに対してはどうなんだろう。不安だ。
『ひまつぶしにつくったんだよ』
『きょうがのっちゃって』
『しょくにんとしてのちからをぞんぶんにふるいました』
みんなやり切ったような顔をしてるね。
その熱意を違うところに向けて欲しいところだけどね。
具体的に言うと私の寝具作りとかにさ!
『せいれいばくはらん、さんぷ!』
『さんぷ!』
なにかの機能が動き始めたのか城の至る所から虹色の粒子が放出され始めた。
放たれた虹色の粒子は不自然な動きをしながら空へと舞い上がっていく。
なんかなんでも精霊って付けてればいいって思ってない?
『せいれいほう、ひょうじゅん!』
『すたんばーい』
砲身も音を立てながらその巨大な砲口を空へと向けていく。
まさに万全の迎撃体制だね。
これが妹相手じゃなければ安心して見ていられたんだけど……
『不安じゃ。まじで不安じゃ』
万全の装備に身を固めたソラウが彼女に似合わない不安そうな表情を浮かべて私と一緒に起動していく精霊兵器の数々を眺めていた。
ソラウはといういつもの青いドレスにいつもは付けないであろう胸部など急所を守るだけの軽鎧を身につけ、氷の巨大な手甲を装備していた。つまりは完璧な戦闘態勢。
そんな彼女と共に城が壊れるのが嫌だった私は庭に持ち出したソファーに座りながら欠伸を噛み締める。
「まぁねー」
『緊張感がないのぅ!』
そうは言われてもねぇ。来てるのがファルゼならどうしようと後の祭りだしねぇ。
そんなどこか達観というか諦めの境地の私はというとさすがに寝起きの裸ではなくちゃんと服を着ている。まぁ、いつも着てる服なんだけど。そして腰には指輪から元の形に戻した精霊樹剣と魔王の剣の二振り下げ、さらにベルトに三つのポーションを差し込んでいる。
多分、これがないとファルゼとまともに戦えないんだよね。
そして指には新たな指輪。私が精霊さん達の案からダンジョンコアの力と精霊樹の魔力に物を言わせて作り上げた新たなる力の源がある。
そんな私にアンとトロワは決死の覚悟を決めたような表情で付いてこようとしてたんだけど昼寝中のフィズを押し付けてイーリンスの側に置いてきた。いや、死を覚悟してるみたいな青白い顔だったしね。
着いてきても守れる自信ないし。
その点、フィズとイーリンスの側ならダンジョンコアの力もあるから多少は大丈夫のはずだし。
「精霊さんが上手くやってくれることを祈るよ」
私もソラウと同じように不安な眼差しをしてただろう。
『てきがせいれいばくらいにとつにゅうしてきた!』
そして空に爆音が鳴り響いた。




