前皇帝、防ぐ
「さて、我が娘よ。我の王座を返してもらおうか」
「いや、あなた皇帝の座はもう追われたじゃん。だからあなたの王座なんてもうありません」
「あれは計られたのだ!」
宙に浮かびながら地団駄を踏むという器用な事をゴーシュはしている。凄い、音までなってるよ。
それにしてもあれが全然魔導具だとしても一体どこからあれを起動させる魔力を抽出してるんだろう?
言っては何だがボク達皇族は魔力は多いといってもどこぞのエルフほどあるわけじゃない。皇族の緊急用の魔導具を動かすくらいはできるくらいにはある。それでも一応は一般人よりは多いんだけどね。
そんなわけで当然、前皇帝であるゴーシュもそれなりに魔力があるわけなんだけど、魔導具に大して詳しくないボクの目から見てもゴーシュの身に纏う魔導具は効果はわからないけど一級品だということはわかる。それらを起動させてる魔力はどこから来てるんだ?
首を傾げている間にレオンが飛ぶ。
あっという間にゴーシュが浮かぶ高さまで到達すると聖剣を振り上げた。
対して武術の心得なんてないゴーシュは全く反応できていない。レオンが真上に現れた事にすら気付いてないだろう。
そんな反応すらできていないゴーシュの頭へと向かいレオンは容赦なく聖剣を振り下ろした。
ボクはゴーシュの頭はあっさりと切り分けられたパイみたいになるかと思った。
しかし、ゴーシュの頭をかち割るような速度で迫った聖剣は突然、何かに遮られるかのように動きを止めた。
「な⁉︎」
「む!」
レオンは聖剣が突然止まったことの驚きからゴーシュはいきなり目の前に現れたレオンの姿に驚いた事から声を上げる。
「この金食い虫目!」
「あんたを殺して魔導具を売り捌いてやる!」
ゴーシュを認識したらしいニグルレッドとアマーリアが殺気を撒き散らしながら魔法をゴーシュに向かい解き放った。
飛んでくる魔法を視認したらしいレオンは素早くゴーシュから距離を取る。そして間髪いれずに叩き込まれる爆炎魔法。一瞬にしてゴーシュを爆炎が包み込んだ。殺傷能力の高い爆炎魔法を選択するあたり殺意マシマシだね。どれだけ恨みを買ってるのか。
「そんなもの真なる皇帝である我には効かんわ!」
うん、知ってた。
あんだけ魔導具があるんだもんね。それにレオンの攻撃を防いでたし魔法くらい簡単に防げるだろうし。
黒い球体のようなものがゴーシュを中心にするように展開されてる。多分、あれがレオンの攻撃やアマーリア達の魔法を防いだんだろう。
「レオン、ぶった斬れそう?」
着地した信頼している護衛兼悪友へと尋ねる。
「難しいな。感触的にお前を守らずに全力で行けば多分斬れるだろうが」
レオンが難しそうな顔をしながら答える。うーん、そうなると確実にゴーシュの奴はボクを狙ってくるよね。
面倒すぎる。
「ふむ、こないならこちらからいくぞ!」
ゴーシュの奴が手にしている杖を頭上へと翳す。
杖に付いている紅い宝石が光り輝き、一瞬にして周囲の至る所に魔法陣が描かれてたのだった。




